【週俳4月の俳句を読む】
まあるく愛らしく
大井さち子
鳥帰る何度も書き直すひらがな 近 恵
漢字をじっと見ているとゲシュタルト崩壊が起こり
あれっ?この字こんなだったかな?と思う。
ひらがなは曲線が多くやわらかい。
まあるくまあるく愛らしく書いてみる。
季は春ゆえいくら書いても
書いた先からひらひらとひらがなが舞い上がる。
帰りゆく鳥たちを追うかのようにつらつらとつながって空にのぼり
遠く消えてゆく。
ふとわれに返り鏡をのぞけばひとりの女。
あれっ?わたしってこんなだったかな?
春夕焼郵便受で手紙読む 仮屋賢一
静かな一日だった。
家の者たちは仕事に学校にそれぞれ出かけている。
バイクの停まる音。
小さな窓が開く。光が入る。
もう夕暮か、夕焼け空がほんの一瞬見えた。
差し入れられる四角いものは一通の手紙。
ときどき近況を書いてよこす友の顔を思い浮かべる。
ここに暮らしてどのくらいになるだろう。
ちっちゃくなった仮屋氏は友からの手紙を読む。
春夕暮の郵便受の中で。
なあんてことはありませんね、失礼しました。
第363号 2014年4月6日
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第364号 2014年4月13日
■西村麒麟 栃木 10句 ≫読む
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第365号 2014年4月20日
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第366号 2014年4月27日 ふらここ・まるごとプロデュース号
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2014-05-04
【週俳4月の俳句を読む】まあるく愛らしく 大井さち子
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