【八田木枯の一句】
ろくぐわつのうつたうしきは麥粒腫
西村麒麟
ろくぐわつのうつたうしきは麥粒腫(ものもらい) 八田木枯
八田木枯と言えば、鏡、母、鶴とお馴染みの木枯好みとでも呼びたい様な独自の美意識があり、ファンを楽しませてくれるのだが、その中でも「ろくぐわつ」は最も濃くて妙なキーワードではないだろうか。
なんと全句集には二十五句もの「ろくぐわつ」の句がある。どんだけ好きなんだろうか。しかも「六月」ではなく、すべて「ろくぐわつ」である。
これだけ頑なに「ろくぐわつ」なのだから、なんだか「ろくぐわつ」と「六月」は違うものなのではないだろうかとすら思えてくる。単純な梅雨の月というだけではなさそうだ。
今、六月の田園を見ながらこの文を書いている。雨は降っていないが空がうす暗い、予報によれば明日も。冥いと書くと木枯好みだろうか。このうす暗さに作者は何かしらの強い魅力を感じただろう。
ろくぐわつを敢えて二三度ろくぐわつと読んでみる。
ろくぐわつろくぐわつろくぐわつ
目が痒い。掻いてはいけない。
掲句は『鏡騒』(2010年)より。
2014-06-08
【八田木枯の一句】ろくぐわつのうつたうしきは麥粒腫 西村麒麟
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