【週俳7月の俳句を読む】
異議なし
北川あい沙
河骨のちかく通話をしてゐたり 鴇田智哉
<河骨>と<通話>の関係がすごく好き。因果関係はないのだけれど、その通話は河骨が支配している、その河骨無しには通話できないと思えるような変な説得力。
かなかなといふ菱形の連なれり
かなかなは菱形。かなかなの鳴き声も菱形だし。まったくもってかなかなは菱形だ。この感じに賛成、異議なし。
火が草へうつり西日にとけこめり
火と西日はやっぱり繋がっていたのか。と思った。西日とはこういうもの。西日は日ではなく火なのだ。これも異議なし。
簡単な顔と歩いて日の盛 木津みち子
木津みち子さんの<それから>は、10句あるけれど半分くらいはぼんやりしていて、透明なサイダーみたいだ。水が匂い、声は遠く、一緒に歩いて居る人の顔は簡単で、この外界との距離の絶妙さ。すごくリアルな夢を見ていて、でも夢だから肝心なところがどうしてもはっきりしない時のような。そうやってみち子さんは毎日を過ごしているのでしょうか。
聞かれても答はひとつ夏の月
でも心の中では何かを決めている。というかあまりにきっぱり決めてしまったので、むしろ周りはぼんやりくらいでちょうど良いのか。
それからを知つてゐる花かつみかな
最後には、みんな花かつみに託してしまうみち子さんでした。
第376号 2014年7月6日
■木津みち子 それから 10句 ≫読む
■関悦史 ケア二〇一四年六月三〇日 - 七月一日 12句 ≫読む
第377号 2014年7月13日
■西原天気 走れ変態 9句 ≫読む
第378号2014年7月20日
■鴇田智哉 火 10句 ≫読む
第379号2014年7月27日
■荒川倉庫 豚の夏 10句 ≫読む
■福田若之 小岱シオンの限りない増殖 10句 ≫読む
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2014-08-10
【週俳7月の俳句を読む】異議なし 北川あい沙
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