【八田木枯の一句】
秋ふかし鳥とべば木もとびたがる
西村麒麟
秋ふかし鳥とべば木もとびたがる
春には安心感があるけれど、美しいのは秋。春は眠たいけれど、秋は気分も澄んでいる。
木がとびたがるのも秋だろうか。
枝が空を目指すぐらいの句ならば見ることがあるかも知れないけれど、この句は妙。枝が鳥の翼のようで、何だか頑張れば飛べそうな気がする。もちろん木だから無理だけど。
冬ふかし柱が柱呼びあふも
の柱
春を待つこころに鳥がゐてうごく
の心の中の鳥とも同じく
この木もまた作者自身の一部だろう。
この木の不思議さ、寂しさは冬ほど孤独でもないし、春ほど穏やかではない。
あぁ、秋。
『雷魚』第89号 「秋のくれ」より。
2014-08-31
【八田木枯の一句】秋ふかし鳥とべば木もとびたがる 西村麒麟
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