自由律俳句を読む 71 現代自由律百人句集第II集〔1〕
馬場古戸暢
近年に設立された団体「自由律句のひろば」では、二年に一冊、『現代自由律百人句集』を作成して行く予定でいる。去る2014年7月には、その第二集が出版された。今回は『現代自由律百人句集第II集』(自由律句のひろば、2014)より、数句を選んで鑑賞したい。
愛犬の眠る畑のみかんどっさり 石竹和歌子
愛犬が肥やしとなってくれたのか。みかんの香りに囲まれて、愛犬もはしゃいでいることだろう。
見えないあなたに盆提灯を吊るす 今石咲子
無事に迷わずに帰ってきますよう。私事だが、昨夏、盆提灯を吊るす場所が玄関口になくなっており、釘と板で急遽作成することになった。結局上手には作れず、傾き気味の盆提灯となったが、無事に帰って来られたものと信じたい。
一息つける雨の一日 内田麻里
静かな雨の日には、陰鬱な気分になることもあれば、安心することもある。クラシックなどを流して、静かに過ごしたい。
ここがいつも見ていたあごの骨少し 小野芳乃
焼き場での景だろう。高齢であれば、骨も少ない。特徴的だったあごの骨も、わずかに燃え残るばかりなのであった。
ふるさとを抱えて眠る母の寝息 小坂みゆき
抽象的だが、雰囲気を想像できる句。母とはふるさとなのであって、ふるさととは母なのである。いつまでも在り続けますように。
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