〔今週号の表紙〕
第411号 Bottle
雪井苑生
これは銀座の某PRONTOの二階で撮った。ビンの並んだ光景というものに何故か惹かれる。めったには行かないけれど、静かなバーなどのカウンターのうしろに、さまざまな酒ビンが並んでいる光景は見ていて楽しい。
ところでカタカナで「ビン」と書くのは何とも無粋で、汚れた空きビンのイメージしか浮かばない。漢字で書けば「瓶」もしくは「壜」なのだが、その使い分けがわからないのだ。ちょっと調べてみたら、「壜」は土偏からわかるとおり、もともとは土器の壷をさしており、「瓶」の「瓦」は陶器のことで、つまり陶器の壷のことであったと。今では両方ガラスの入れ物をさすが、ルーツはそういうことだそうだ。で、同じガラスビンで瓶と壜はどう違うのだろうか。これに対しては明確な理由の違いはないようである。
なので自分の勝手なイメージで考えると、瓶はわりと大きめ、壜は小さくて繊細な感じのもの、という感じがする。例えば香水のビンは「香水瓶」より「香水壜」のほうが似合うと思いませんか? 字面も瓶のほうはクリアで、壜のほうは何やら朦朧とした曇りが見えるような。そういえば子供の頃、母の鏡台に小さな香水壜がいつも置いてあった。布製の丸い玉をシュポシュポ押して使うタイプのもので(バルブアトマイザーというらしい)、そのどこか秘密めいたカットガラスの美しさがとても好きだったことを覚えている。あれは絶対「壜」でなければならない、って勝手な独断なんですけどね。
0 comments:
コメントを投稿