自由律俳句を読む 99
矢野錆助〔1〕
馬場古戸暢
矢野錆助(やのさびすけ、1975-)は、随句誌『草原』編集同人。以下では、自由律俳句誌『蘭鋳』(雲庵、2014)より数句を選んで鑑賞したい。
俯いて小便の泡 矢野錆助
男性ならではの句。最近では便器が汚れるのを防ぐために、座ってする人も多いとか。時代はこうして変わって行くのである。
今日も居ったな守宮 同
この守宮と会えなくなる日が、いつかどうしてもやってくるのだろう。その時にはじめて、これまでの日常が幸せだったと気づくのだろう。たぶん。
オケラ鳴く夜の借金の話 同
オケラが鳴くということを、この句ではじめて知った。作者は借金をした側か、金を貸した側か。いずれもどうにもいやな夜だ。
観音様の前で蚊をうつ 同
蚊をうつ句は多くあろうし、蚊あるいは蝿と仏様を詠んだ句も散見されよう。しかし掲題の句のシンプルさは、どうしても採りたくなってしまう。
舌絡み合って熱帯夜 同
視覚と聴覚、嗅覚、臭覚、触覚、そして味覚にまで、影響を及ぼしてしまう一句。
2015-06-28
自由律俳句を読む 99 矢野錆助〔1〕馬場古戸暢
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