〔今週号の表紙〕
第427号 夜の小台橋
中嶋憲武
このあたりはまるでシテ島のようですという、足立区小台のカフェ「ブリュッケ」のマスターの言葉が頭にあったからか、この橋は「ポンヌフの恋人」という映画のなかでみたポンヌフの橋のようだと思った。ポンヌフの橋にはアーチが掛かっていなかったと思うが、このあたりの雰囲気と今夜の気分がそう思わせたのだろう。
夏至に近づくだんだんと日が伸びてゆくいまの時期は、一年のなかでも好きな季節だ。夏至が過ぎてしまうと余生のようで哀しい。
世界は点滅するモザイク模様のように
地球という卵の殻である 地表の上を
人間 そして動物植物昆虫魚たちが
せわしなく 動いている
(深澤紗織「世界は点滅するモザイク模様のように」)
今夜、ブリュッケで聴いた詩の一節を反芻しながら小台橋を渡った。
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