21. ハードエッジ 「ブルータス」
白梅のかたき莟の香なりけり
巫女赤く神主白く梅見頃
その色の淡く明るく雛あられ
新聞も三月三日ひなまつり
雛納め亀鳴くころと思ひつつ
廻しては戻すハンドル春の山
山笑ふアダム・ブラボー・チャーリーは
大学も大学院も春休
水に浮く箸こそよけれ飛花落花
金銀にあらざる赤き桜しべ
たんぽぽの絮の飛びゆく港かな
このごろの夕餉明るし豆ごはん
花は葉となりたるころの月の色
志半ばの人の更衣
十薬やひと雨にふる雨の粒
角出して虹を見てゐるかたつむり
空蝉と例へば空の段ボール
蟻の巣に入らぬものを壊しをる
鉄路灼け列車過ぎゆき鉄路灼け
ものを煮ることなき水が噴水に
ブルータスも触つて行きし花氷
連絡船は磁気嵐とや蛍の夜
雷に照らし出されし避雷針
水槽のびくともせずに夏の夜
枝垂るるに一瞬の間や大花火
この辺に雨ふりそめし遠花火
「盆踊雨天中止」が雨に濡れ
新涼や飯台に飯移しつつ
陶片のこれは全き草の花
蓑虫は蓑に籠りて不惑なる
鯖の皮も秋刀魚の腸もありがたく
流れ星ただ一筋といふことを
遠ざかる一つの時代天の川
白鳥の大きな羽や広げけり
日本の鴨となりたる水の上
枯野行く少し狂ひし腕時計
枯草は倒れ枯木は立てりけり
たまりたる落葉の下の水たまり
息のあるものが生きもの雪ふりつむ
落されて瓦礫となりぬ屋根の雪
湯舟の湯ぬくが如くに湯冷めかな
大根も抜きたる穴も濡れてをる
鮟鱇の肝を潰したやうな顔
命なきものに包まれ毛皮人
初日の出中継エデンの東より
松過ぎの少し早めの日曜日
永かれと硬く作りし雪うさぎ
如月や死の後にくる誕生日
雪解川たてがみ白くなびかせて
雪解川働く町を通りけり
●
■ハードエッジ
twitter専業俳人
2014秋より、俳句データベース導入
(55万句/桐v9)
白梅のかたき莟の香なりけり
巫女赤く神主白く梅見頃
その色の淡く明るく雛あられ
新聞も三月三日ひなまつり
雛納め亀鳴くころと思ひつつ
廻しては戻すハンドル春の山
山笑ふアダム・ブラボー・チャーリーは
大学も大学院も春休
水に浮く箸こそよけれ飛花落花
金銀にあらざる赤き桜しべ
たんぽぽの絮の飛びゆく港かな
このごろの夕餉明るし豆ごはん
花は葉となりたるころの月の色
志半ばの人の更衣
十薬やひと雨にふる雨の粒
角出して虹を見てゐるかたつむり
空蝉と例へば空の段ボール
蟻の巣に入らぬものを壊しをる
鉄路灼け列車過ぎゆき鉄路灼け
ものを煮ることなき水が噴水に
ブルータスも触つて行きし花氷
連絡船は磁気嵐とや蛍の夜
雷に照らし出されし避雷針
水槽のびくともせずに夏の夜
枝垂るるに一瞬の間や大花火
この辺に雨ふりそめし遠花火
「盆踊雨天中止」が雨に濡れ
新涼や飯台に飯移しつつ
陶片のこれは全き草の花
蓑虫は蓑に籠りて不惑なる
鯖の皮も秋刀魚の腸もありがたく
流れ星ただ一筋といふことを
遠ざかる一つの時代天の川
白鳥の大きな羽や広げけり
日本の鴨となりたる水の上
枯野行く少し狂ひし腕時計
枯草は倒れ枯木は立てりけり
たまりたる落葉の下の水たまり
息のあるものが生きもの雪ふりつむ
落されて瓦礫となりぬ屋根の雪
湯舟の湯ぬくが如くに湯冷めかな
大根も抜きたる穴も濡れてをる
鮟鱇の肝を潰したやうな顔
命なきものに包まれ毛皮人
初日の出中継エデンの東より
松過ぎの少し早めの日曜日
永かれと硬く作りし雪うさぎ
如月や死の後にくる誕生日
雪解川たてがみ白くなびかせて
雪解川働く町を通りけり
●
■ハードエッジ
twitter専業俳人
2014秋より、俳句データベース導入
(55万句/桐v9)
4 comments:
過去の落選展から季語で抽出してみました
勝手するなと言われれば止めますが、
何かの参考になるかなと、、、
【山茶花】
山茶花や刺身ぼんやり口に入れ 上田信治/展2007
案外に薄汚れてら山茶花ら 藤幹子/展2007
花一つあり山茶花と知られける 上田信治/展2009
山茶花や傍聴席を取る列に 箭内忍/展2009
山茶花や小川跨ぎてバスとまる 生駒大祐/展2010
山茶花や見えざる声の鳴きをはる 神山朝衣/展2012
山茶花の花びらの上を土足にて ハードエッジ/展2012
山茶花の雪に塗れてゆけるかな 前北かおる/展2013
山茶花に真白き布の被せある 生駒大祐/展2014
かるくつてこはれやすくて山茶花は 高梨章/展2014
山茶花の散ればリズムの生まれけり 加藤御影/展2014
閑かなる葉に山茶花の押し合へる 岬光世/展2015
山茶花の塵へ全き蘂降りぬ 加藤御影/展2015
山茶花や坂道おほき町にすみ 高梨章/展2015
※どこへコメントすべきか迷いましたが、
取り敢えずここへ
ps.一文字欠落してたので修正・再登録です
◎勝手企画、クリスマス特集 42句(全落選展より、文字コード順)
とある灯に犬売れ残る聖夜かな 大塚凱/展2015
はらはらと倒してみたき聖樹かな 飯田哲弘/展2007
もはや子の寝付くは待てぬ聖夜かな 津野利行/展2013
クリスマス・ソングに街の伸びちぢみ 村越敦/展2012
クリスマスケーキ一口癌病棟 津野利行/展2014
クリスマス火口へと道続きけり 青山茂根/展2008
クリスマス無言家族地下駅へ 高梨章/展2011
クリスマス浴槽に膝曲げてをり 江渡華子/展2009
スパイスの利き過ぎてゐる聖夜かな 金子敦/展2007
ベッドから手が出てサンタ捕まえる 石原ユキオ/展2007
メリーとはいかな意味なるクリスマス すずきみのる/展2014
リビングの隅の聖樹の消し忘れ 杉原祐之/展2015
花の絵のあふるる葉書クリスマス 青島玄武/展2009
悔恨が俺を追い抜いてゆく聖夜 大中博篤/展2014
皆帰り聖夜ナイフを口に入れ 佐藤文香/展2010
帰宅とは聖樹の尖に帽子置く 生駒大祐/展2011
空色の都電に乗つてクリスマス 神山朝衣/展2012
今朝のバスサンタクロース貼りつけて 嵯峨根鈴子/展2013
子を産めばママと呼ばれて聖誕祭 吉川千早/展2014
樹という樹すべて聖樹として飾る 福田若之/展2010
小道具のパンはほんもの聖夜劇 仮屋賢一/展2015
象といふ象こぼれてはクリスマス 藤幹子/展2007
神様と二人炬燵のクリスマス 奥村明/展2015
厨には嫁げる姉が立つ聖夜 岡田幸彦/展2015
吹抜に吊すあれこれクリスマス 前北かおる/展2013
聖樹の灯ボーイソプラノが揺らす きしゆみこ/展2015
聖樹立つ隣りの自動販売機 嵯峨根鈴子/展2012
聖夜なり記憶確かな以前の母 岡田幸彦/展2015
雪隠といふ札がありクリスマス 谷雄介/展2008
洗濯物吊してメリークリスマス 津野利行/展2013
地下街の泉に揺らぐクリスマス マイマイ/展2011
柱時計に羊隠るる聖夜かな 岡田由季/展2007
天井へ触れさうクリスマスツリーの星 中嶋憲武/展2008
登れない坂の上にはクリスマス 岬光世/展2015
飛行機に数多の車輪クリスマス ハードエッジ/展2014
飛行船しずかに流れクリスマス 大穂照久/展2012
病むひとのあしうら白き聖夜かな 高梨章/展2013
眠り浅きペットホテルの聖夜かな 箭内忍/展2009
網棚にねこのゐるらしクリスマス 吉川わる/展2015
留学生寮サザエさん見るクリスマス 今村豊/展2011
旅戻りサンタクロース来る家に 前北かおる/展2013
珈琲と煙草それからクリスマスケーキ 山田露結/展2013
※修正、再投稿
◎勝手企画、歳末特集 61句(全落選展より、文字コード順)
おほかたは面罵の記憶年忘れ 藤幹子/展2007
おまへこそ総てと添へてやる賀状 和倉左京/展2011
お蕎麦屋の盆に売られし年賀状 きしゆみこ/展2015
すれ違ふ女が泣いて年の市 中嶋憲武/展2009
のし餅ののされぐあひを押してみる ハードエッジ/展2012
ひと筋にひとの流れや除夜の鐘 前北かおる/展2015
シュレッダー溢るる御用納かな 杉原祐之/展2012
ショッピングカート行き交ふ師走かな 杉原祐之/展2013
ナポリタン食いつつ年を惜しみけり 大穂照久/展2012
羽根合はせ保つ体温暦売り 薮内小鈴/展2015
河を越え伸びをり塔の影師走 薮内小鈴/展2015
海岸に師走の旅の眼をひらく 青本柚紀/展2015
完売の解体新書年の市 和倉左京/展2011
漢字犇めく保険約款小晦日 藤山直樹/展2011
球体のごとくに年の暮の街 谷雄介/展2007
空きビルの落書き消えず越年す 工藤定治/展2014
古暦すこし汚してより捨てり 仮屋賢一/展2015
古暦つまり風葬ではないか 大塚凱/展2015
古暦病ひを得ると記しあり 小池康生/展2014
向かう向く絵馬おもしろき年の内 谷雄介/展2008
行先板真白き御用納かな 杉原祐之/展2011
高橋も髙橋もゐて賀状書く 青木ともじ/展2015
師走から零れて父と鰻屋に 田島風亜/展2011
死神が添寝している年の暮 林阿愚林/展2010
紙鍋に炎よりそふ師走かな 谷雄介/展2008
七癖を数へなほすも年用意 和倉左京/展2011
車積む車走りて年の暮 利普苑るな/展2015
初めての家長としての年の夜 杉原祐之/展2011
除夜の鐘なんでもかでも壁に貼る 小池康生/展2010
除夜の鐘ぽきりと鳴るは首の骨 山下つばさ/展2010
除夜の鐘知らずに眠る仔犬かな きしゆみこ/展2014
数え日の品川駅に投函す すずきみのる/展2011
数え日や音楽の鳴る部屋を出て 山田露結/展2009
数へ日のひと日に母の忌日あり しなだしん/展2010
数へ日の換気扇より空の音 小池康生/展2008
数へ日の寄席に己を匿ひぬ 小池康生/展2014
数へ日の紙屑だらけ競馬場 杉原祐之/展2015
数へ日や窓に貼られし物の影 吉川わる/展2015
整然と響く靴音日記買ふ 岡田幸彦/展2015
声がして師走の街に手をかざす 佐藤文香/展2013
大晦日アバター歓ぶディスプレイ 葛城蓮士/展2015
大年が目測を誤りて落つ 藤幹子/展2007
地球儀は高いところへ煤払 青木ともじ/展2015
通帳の印字確かめ冬賞与 工藤定治/展2014
東京は西へひろごる年の暮 谷雄介/展2008
年の瀬や餃子に賞味期限あり 津野利行/展2013
年の暮吊り輪を握る手に力 工藤定治/展2014
年の夜の旅の準備に忙しなく 杉原祐之/展2010
年取や幾度祈らねばならぬ 小早川忠義/展2011
年惜しむ用なき昼の豆電球 中嶋憲武/展2007
念入りにオムレツ閉ぢて年詰まる 藤幹子/展2007
煤逃にあらず短き流(る)竄(ざん)なり 古谷恭介/展2009
売切の厚焼玉子年の市 杉原祐之/展2014
父母の分まで生きて古暦 津野利行/展2014
母の古日記どつかと読みふける 津野利行/展2014
母の死のことには触れず晦日蕎麦 津野利行/展2014
夢の島除夜のおほきな闇が来る 大塚凱/展2015
名前なきビデオテープや年の暮 江渡華子/展2008
門松を立てて休業札掲げ 前北かおる/展2011
漏れてゐる器と知らず年の暮 小池康生/展2010
梵鐘のそよりともせず年の暮 中嶋憲武/展2008
※漏れご容赦 m(_ _)m
◎勝手企画、正月特集 29句(全落選展より、文字コード順)
一年が眠り歌留多に金ひとすじ 宮﨑玲奈/展2015
煙ごと串焼買ふや初戎 仮屋賢一/展2015
境内に入る一礼や初鴉 利普苑るな/展2015
子供らのもう飽きてゐる御慶かな 青島玄武/展2015
耳の穴きれいに見えて春着かな 吉川わる/展2015
初釜を明日に並べる妻の帯 杉原祐之/展2015
初恵比須神に冗談言ふことも 仮屋賢一/展2015
初場所のひかりをはなつ水と塩 北川美美/展2015
初扇静かに閉ぢて仕舞とす すずきみのる/展2015
初凧のすぐ青空となりにけり 青島玄武/展2015
初日の出中継エデンの東より ハードエッジ/展2015
初日の出天動説を許容せり すずきみのる/展2015
初日記国あやふしと書き無力 岡田幸彦/展2015
初富士や住み古りゐたる富士見町 すずきみのる/展2015
初夢に愛国を説く吾憎し 岡田幸彦/展2015
書初や真白な子をあづかりぬ 岡田幸彦/展2015
女正月なりけり寡男の厨事 すずきみのる/展2015
勝独楽の立ちたるままを鷲掴む 仮屋賢一/展2015
松過ぎの少し早めの日曜日 ハードエッジ/展2015
松過や手の中軽き雀の死 折勝家鴨/展2015
杖買うて使はずかへる初弘法 仮屋賢一/展2015
新聞の厚みうれしき初景色 すずきみのる/展2015
親戚や同じかたちの雑煮餅 宮﨑玲奈/展2015
人日のニュースは人を呼び捨てり 仮屋賢一/展2015
人日やただまつすぐにバス通り 青木ともじ/展2015
太陽はもはや熟れごろ初詣 大塚凱/展2015
二両車の初日はさみて曲りをり 薮内小鈴/展2015
薄雲に人の恋しき五日かな 岬光世/展2015
母が拭く成人の日の鏡かな 大塚凱/展2015
※以上、漏れご容赦 m(_ _)m
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