後記 ● 西原天気
プロ野球のオープン戦が始まりました。ところで、「プロは結果がすべて」というセリフをしばしば耳にしますが、首を傾げます。プロなら、過程で魅了してくれなければ困る。
私自身、野球観戦は好きですが(もっぱらテレビ観戦)、勝ち負けこだわるほうではありません。勝敗以外のちょっと妙なところが気にかかったりします。いまの関心事は、「キャッチャーからの返球をうつくしく捕球するピッチャー」です。誰だろう? 贔屓チームはあるのですが、広く12球団を見渡してみたいと思います。
こうした〈アンチ優勝劣敗〉、観劇的野球観戦の態度を聞いて、草野進(しん)という謎の野球評論家(女性華道家というフレコミ)を思い出す人もいるでしょう。いまはその名はあまり聞きませんが、当時、80年代、おもしろく読みました。その影響もあるのか? いや、そうじゃなく、むかしから、そういうところ、つまり「それが何の役に立つんだ?」と他人から言われてしまうようなところにこだわるところがあったようです。
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野球といえば、笠置シヅ子(突然思い立って、ひとりで「笠置シヅ子祭り」を開催したばかりです)に、「ホームラン・ブギ」という名曲があって、ぜひ聞いてみてください。歌詞が泣けます。昭和前期の青空が見えます。いや、そんな空、実際に見たことはないんですが、見たことのない空が見えるから、すごい。
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それでは、また次の日曜日にお会いしましょう。
no.461/2016-2-21 profile
■下楠絵里 しもくす・えり
平成9年3月1日生。滋賀在住、京都大学文学部に在学。関西俳句会「ふらここ」所属。
■仲 寒蝉 なか・かんせん
1957年、大阪市生まれ。「港」「里」同人。第50回(2005年)角川俳句賞受賞。句集『海市郵便』『巨石文明』、文集『鯨の尾』(いずれも邑書林 2007年)。2015年、句集『巨石文明』で芸術選奨新人賞を受賞。
■関悦史 せき・えつし
1969年、茨城生まれ。第1回芝不器男俳句新人賞城戸朱理奨励賞、第11回俳句界評論賞受賞。「豈」同人。共著『新撰21』(邑書林)。句集『六十億本の回転する曲がつた棒』(2011)にて第3回田中裕明賞を受賞。URL:http://etushinoheya.web.
■ふけとしこ
本名福家登志子。岡山県生れ。「カリヨン」を経て現在「船団」所属。句集『鎌の刃』『真鍮』『伝言』『インコに肩を』他に『ふけとしこ句集』『草あそび』等。1995年俳壇賞。大阪市在住。
■太田うさぎ おおた・うさぎ
1963年東京生まれ。「豆の木」「雷魚」会員。「なんぢや」同人。現代俳句協会会員。共著に『俳コレ』(2011年、邑書林)。
■畠 働猫 はた・どうみょう
1975年生まれ。北海道札幌市在住。自由律俳句集団「鉄塊」を中心とした活動を経て、現在「自由律句のひろば」在籍。
■福田若之 ふくだ・わかゆき
1991年東京生まれ。「群青」、「ku+」、「オルガン」に参加。共著に『俳コレ』(邑書林、2011年)。
■上田信治 うえだ・しんじ
1961年生れ。共著『超新撰21』(2010)『虚子に学ぶ俳句365日』(2011)共編『俳コレ』(2012)ほか。
■西原天気 さいばら・てんき 1955年生まれ。句集に『人名句集チャーリーさん』(2005年・私家版)、『けむり』(2011年10月・西田書店)。ブログ「俳句的日常」 twitter
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