2016-02-07

【八田木枯の一句】春眠のなかぬけてゆくしつけ糸 西原天気

【八田木枯の一句】
春眠のなかぬけてゆくしつけ糸

西原天気


春眠のなかぬけてゆくしつけ糸  八田木枯

好きな材料というものが俳人にはあるようです。木枯さんに、糸の句が多いかどうか、確かめていませんが、あえかなものが好きだったことは確信をもって言えます。

仮止めのしつけ糸はそのままでも頼りないものですが、それが抜けていくというのですから、なおかつ、春眠なのですから、もう、世界は崩壊寸前です。


掲句は第5句集『夜さり』(2004年)より。


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