脇起し九吟歌仙 ひとときのの巻
ひとときの太古の焔お水取り 和田悟朗
余寒おほきくうつろへる影 ゆかり
かざぐるま風を愉しみ音立てて 銀河
どこからか来るなつかしき声 七
昼月のぼやけ両国橋の上 苑を
電車から見て町は爽やか 令
ウ 紅葉へと女子大生の集まれる 由季
楽屋口には菓子と手紙と 媚庵
ささやきは拍手の波をくぐりきて 裕
鎖骨に触れる罪の舌先 なむ
蒟蒻を用ゐ閻魔を手なづける り
天動説に沿ふも夏月 河
レコ-ドの傷撫でてゐる宵涼し 七
先端恐怖症の眼科医 を
学会へマジックインキで書く図表 令
乾けばすぐに羽織る春服 季
夜の花の向かふ側から汽笛鳴る 庵
鮊子釘煮水分子形 裕
ナオ 抜け忍の家系で草を煎じ飲む む
貨物列車のやうなリビドー り
速読で知つたつもりのこと多く 河
蕩蕩として忘却の川 七
この冬に流行るてふ縞馬模様 を
氷湖の上でスピン楽しき 令
五年後の五輪に備へ竹植うる 季
洗ひ飯食ふ宮本武蔵 庵
帰りゆく燕の彼方眺めつつ 裕
物の音の澄む神宮球場 む
たれかれを招くでもなく月招く 七
猫は伸びたりまるくなつたり を
ナウ 二上の雪の時空に律あらむ 令
揺れをさまりて曇る白息 河
眼球を動かしてゐる画学生 庵
庭を旅して逃げ水を追ふ 裕
永劫のまほろばに置く花の昼 む
この世に誘ふ一頭の蝶 季
起首:2015年 3月 7日(土)
満尾:2015年 3月23日(月)
捌き:ゆかり
企画:銀河
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