後記 ● 村田 篠
先日ある人と映画の話をしていたら「***(映画のタイトル)観たけどふつうに面白かったよ」と言われました。そのときは何となく聞き流したのですが、「ふつうに面白かった」の「ふつうに」って何だろう、とふと思いました。
そういえば、お笑い芸人が「ピカソより、ふつうに、ラッセンが好き」というネタを踊りながら言うのを見たことがあります。この場合は、作品の社会的評価(価格)の高い方とは逆の方が自分は好き、ということを「ふつうに」と言っています(それを「ふつう」と言っていいかどうかはまた別の問題ですが)。相対的な評価を軽く揶揄しているのです。
上記の映画の話の「ふつうに面白かった」の場合も、一般的な面白さの基準をこの人なりに設定して「面白かった」と言っているように思えますが、映画が面白いかどうかはごく個人的な感覚だと思うので、「思った通り面白かった」ときもこう言うような気がします。若者言葉では「ふつうに」をかなり肯定的に使うケースもあるので、「すごく面白かった」というニュアンスもあるかもしれません。これだけでは、どれがその人の正解なのか、わかりません。「ふつう」はそもそも前後の文脈なしには、なかなか判断できにくい言葉のひとつですから。
「ふつう」の使い方として少し変だから気になるのかもしれませんが、こんなふうに分析してゆくと、「ふつうに」という言葉の持っているニュアンスの面白さがどんどん消えてゆくのも、なかなか面白いなあ、と思います。
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それではまた、次の日曜日にお会いしましょう。
■満田春日 みつだ・はるひ
1983年、「海」 入会、作句開始。2002年、「ゆう」入会。04年、第五回「ゆう俳句賞」受賞。06年、「はるもにあ」創刊。「静かな場所」同人。句集に『瞬』『雪月』(ふらんす堂)。
1992年埼玉県生まれ。「鷹」同人。東京都在住。
■山田ゆみ葉 やまだ・ゆみは
2000年川柳を始める。「バックストローク」「ふらすこてん」同人。また、小学校のとしょかんにて勤務。読書は通勤電車、作句は風呂という時間設定である(居眠りも、電車・風呂の時間帯)。「おしゃべりな風」http://wind.ap.teacup.com/yumiha/
1995年千葉県生まれ。俳句甲子園第14、15、16回大会出場。「群青」同人。
1995年北海道生まれ。「里」「群青」同人。筑波大学に在学中。
1973年生まれ。無所属。
1987年生。第53回短歌研究新人賞受賞。「翔臨」所属、竹中宏に師事。
1994年、「炎環」入会とほぼ同時期に「豆の木」参加。2000年「炎環」同人。03年「炎環」退会。04年「炎環」入会。08年「炎環」同人。
1954年生まれ。れもん二十歳代俳句研究会に途中参加。春燈「第三次桃青会」結成に参加。月刊俳句同人誌「里」創刊に参加。2014年『俳句と雑文 B』を上梓。
1968年、大分県生まれ。神奈川県在住。「海程」所属、「豆の木」同人。第22回(2002年度)現代俳句協会評論賞、現代俳句協会新人賞佳作、新潮新人賞(評論部門)最終候補など。句集に『メキシコ料理店』(角川書店)、共著に『現代の俳人101』(金子兜太編・新書館)。サイト「ono-deluxe」
1965年長野県生まれ。ニューヨーク市在住。「海程」同人。現代俳句協会会員。2008年海程新人賞、2010年現代俳句新人賞、2014年海程賞受賞。月野ぽぽなフェイスブック:http://www.facebook.com/PoponaTsukino
■生駒大祐 いこま・だいすけ
1987年三重県生まれ。「天為」「トーキョーハイクライターズクラブ」所属。「東大俳句会」等で活動。blog:湿度100‰
1983年生れ、「古志」所属。 句集『鶉』(2013・私家版)。第4回芝不器男俳句新人賞大石悦子奨励賞、第5回田中裕明賞(ともに2014)を受賞。
1975年生まれ。北海道札幌市在住。自由律俳句集団「鉄塊」を中心とした活動を経て、現在「自由律句のひろば」在籍。
■西原天気 さいばら・てんき
1955年生まれ。句集に『人名句集チャーリーさん』(2005年・私家版)、『けむり』(2011年10月・西田書店)。ブログ「俳句的日常」 twitter
■村田 篠 むらた・しの
1958年、兵庫県生まれ。2002年、俳句を始める。現在「月天」「塵風」同人、「百句会」会員。共著『子規に学ぶ俳句365日』(2011)。「Belle Epoque」
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