2017-02-05

【みみず・ぶっくすBOOKS】第14回 ジル・ブリュレ&宮本千安紀『はいくま』 小津夜景

【みみず・ぶっくすBOOKS】第14回
ジル・ブリュレ&宮本千安紀はいくま

小津夜景




これまでとりあげてきた本の装丁はフランスの香りがするものが多かったけれど、たまに日本風の装丁のものを見かけることもある。今週紹介する『はいくま』(直訳は『はいく、わたしのくまちゃん』)はそんな一冊。



著者のジル・ブリュレ氏は詩人。『はいくま』という邦訳タイトルは、イラストを担当した宮本千安紀さんの提案なのだそう。なお本文の邦訳は、リロリ出版の経営者イザベル・アスンソロ氏の個人的な知り合い(日本人)の手による。アスンソロ氏については、当連載の第10回で『草の上の俳句』という本を紹介したので、興味のある方はそちらもどうぞ。


ロンブル
ドゥ・モン・ヌヌルス
エ・オースィー・アン・ヌヌルス


シャポー・ドゥ・パーイュ
リュネット・ドゥ・ソレーイュ
モン・ヌヌルス・ア・ラ・プラージュ

ブリュレ氏の俳句をカタカナで書き取ってみた。大らかな韻が小さな子どもにぴったり。

以前、こちらのサイトで、フランスの子どもがつかう俳句教則本について書いたことがあるのだが、その教則本ではシラブルの数え方、身の回りのていねいな観察、切れ字を足がかりとした〈詩の構造〉を洞察する訓練、異文化への理解など、知性と情操との包括的教育といった狙いが随所に垣間みられた。いっぽう『はいくま』は見てのとおりそれより遥かに小さな子どもが対象である。それにしてもこんなに早い段階で、フランスの子どもが俳句という言葉に触れるとは。なんだか嬉しい。


くまちゃん。


ブリュレ氏。


【参考】
ジル・ブリュレ
http://gilles.brulet.pagesperso-orange.fr/gilles/accueil.html
宮本千安紀 恋してフランス*絵本と旅とリヨンの暮らし
http://biscotte.exblog.jp/

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