中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜
第1回 ザ・ビーチボーイズ「想い出のスマハマ」
天気●夏ですねえ。
憲武●暑いですねえ。
天気●夏といえば、ベタですがビーチボーイズ。といっても、ちょっと変わり種。
天気●欧米の映画なんかでたまに出てくる妙にエキゾチックな日本。勘違いな日本です。
憲武●前奏は一瞬、伊福部昭か! と思いました。あまりにもオリエンタル。
天気●曲とか音とか、それほど悪くないんですが、なんか、背中ムズムズするですよね。
憲武●ムズムズしますよね。
天気●途中では日本語も歌う。
憲武●日本語の歌詞はメンバーの女性秘書フミコが書いたとか、メンバーの秘書兼恋人スマコ・ケリーという韓国人ティーンエイジャーが書いたとか、諸説あるようですが。
天気●韓国人でスマコ?
憲武●これ、ぼくが高校三年か浪人の頃リリースされたかと記憶してますが、最初に聴いたのがたしかラジオで、「日立ミュージック・イン・ステレオハイフォニック」だったか。あ、BYニッポン放送です。当時はこういう勘違いな日本モノってブームだったような気がします。
天気●日立がスピーカーとか作っていた時代ですね。Lo-D。
憲武●テイスト・オブ・ハニーが「スキヤキ」を歌ったり、スティーブン・ビショップのビッグハウスという曲では、「ルニーは日本からやって来た」って歌詞のあとに中国風のフレーズが入ったりと。しかしタイトルが「スマハマ」って。日本語タイトルは「想い出のスマハマ」!
天気●最初、砂浜をスマハマと聞き違えたのかな? sunahama と sumahama は音も字面も似てるし。ま、アメリカ人だから、しゃあないな、と。
憲武●しゃあないですね。
天気●でもね、兵庫県人としては、ひょっとして須磨のこと? と。で、ちょっと調べてみると、須磨浜だった。この曲の作曲・歌唱のマイク・ラブは当時、マネジャーのスマコさんと恋仲で、そのスマコさんは一時期、須磨の近くに住んでいた。スマコさんだし須磨だしってことで、このラブソングが誕生したというわけです。
憲武●ええっ? そのスマコさんって韓国人ティーンエイジャーの??
天気●ま、アメリカ人だから、しゃあないな、ですね。
憲武●しゃあないですね。
天気●須磨だと思えば、源氏物語チックな雰囲気もしてきて、10年に1回くらいは聞いてもいいかな、という曲なんですよ、私にとっては。
憲武●なるほど。言われてみると心づくしの秋風のように沁みてきますね。
天気●ああ、夏が始まったばかりなのに、もう秋風、吹いちゃいましたね。
(次回は中嶋憲武推薦曲)
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