【週俳3月の俳句を読む】
横書きもたまにはいいかも
黒岩徳将
「週刊俳句のようなWEBメディアが俳句総合誌と違うところってどこですか?」と聞かれたらみなさんはどう答えるだろうか。私なら、「10句作品が横書きテキストでも載っていること。」と言うかもしれない。
ブリトーと雲雀の季節切手買う 佐藤智子
次のような経験はないだろうか。俳句愛好家が句帳を家に忘れて吟行に向かうとする。眼前の景をみつめ、五七五という神の啓示が降りてきた!しかし手元には手帳がない……そんなときに俳句愛好家は縦書きのテキストをしたためることはできない。思いついた言葉を頭の中で留めようとするが忘れてしまうのは怖い。……苦渋の決断として、スマートフォンあるいは携帯電話に『横書き』で17音をタイプした。
横書きになった場合、「ブリトー」と「雲雀」の対等な関係は更に強まる。「季節」という言葉が一句を貫くことによって、「ブリトー」は「雲雀」を制圧できないし、「雲雀」は「ブリトー」を突き上げることもできなくなった。生地から具がはみ出すブリトーの横方向のイメージと、雲雀の縦方向のイメージは交錯しないところも奇妙といえるだろう。また、ファッション誌の「春は○○の季節!」に近いテイストで「季節」と言う言葉が使われているが、この語を俳句に仕立て上げているのは、ブリトーと雲雀の並列関係なのである。
そして、句は「季節」で収束しない。更に切手へと作者の目線はすすむ。いや、それとも切手が主目的なのだろうか。ブリトー、雲雀、切手の三点倒立をどう受け止めるかが読者に試されている。あるいは、作者は何も考えていないのかもしれない。それを想像するだけで、撹乱される楽しさを覚えるの。
2017-05-07
【週俳3月の俳句を読む】横書きもたまにはいいかも 黒岩徳将
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