中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜
第6回 岡田徹:マスカット・ココナツ・バナナ・メロン
憲武●岡田徹フィーチャーリング井出ちよのです。
天気●岡田徹は、はちみつぱい、ムーンライダーズのキーボード担当でしたね。井出ちよのという人は知らない。
憲武●オリジナルは、1976年のムーンライダーズのセカンドアルバム「ムーンライダーズ」に収録されてます。作詞鈴木慶一、作曲が岡田徹・鈴木博文です。これはカバーですね。去年の勤労感謝の日に5枚目のソロアルバムが出ました。
天気●当時、これ聴いて、「あ、『黄色いさくらんぼ』がやりたいんだな」と思いましたよ。
憲武●それ、気がつかなかったです。井出ちよのさんは静岡県の富士山アイドルらしいです。ご当地アイドルなんですね。3776(みななろ)というユニットの。だから冒頭、富士山がどかーんと。いや、噴火はしてませんが。
天気●うん、しないしない。
憲武●歌詞がね、鈴木慶一だけに煽情的な面もあります。
天気●そこも『黄色いさくらんぼ』。女の子は3人用意してほしかったな。
憲武●ゴールデンハーフ・ヴァージョンだと4人ですね。
天気●あっ、スリー・キャッツ(1959年)は古すぎでした。
憲武●あまり、はっきりした記憶ではないですが、「マスカット~」は1980年の横山博人監督『純』って映画で使われてたような。
天気●その映画、観たと思うけど、曲が流れたのは憶えてない。
憲武●主人公、江藤潤演じる純は、朝加真由美演じる奥さんがいるにも関わらず、通勤の電車の中で毎朝痴漢行為を繰り返すんです。その痴漢シーンでBGMとして使用されてたような。ものすげー違和感だったんで、なんとなく覚えてるんです。映画も地味で暗い映画でしたが。
天気●鬱屈って感じの映画だった。自分の記憶のなかでは『十九歳の地図』とセットになっていて、調べてみると、監督は違うんだけど、『十九歳の地図』が1979年、『純』が80年。
憲武●柳町光男監督ですね。十九歳の地図。映画館出てから足取りの重い映画でした。あと、泉じゅん主演のロマンポルノで、タイトルは忘れました、突然井上陽水の「愛は君」かかったり。何やってんだ日本映画!って感じですよ。
天気●やりたいようにやってた感がありますね、70年代。で、マスカットは?
憲武●すみません。もとに戻ります。岡田徹さんは声を加工してますね。これは声がアナウンサーみたいだからという理由のようです。
天気●へぇ。
憲武●岡田徹さんの一家はアナウンサー家族だそうで、鈴木慶一にアナウンサーみたいって言われて少々傷つき、このグループ(ムーンライダーズ)では美声はダメだとダミ声で歌ったり、機械で加工して工夫するようになったらしいです。ミュージックマガジン増刊「.ムーンライダーズの30年」(2006年11月)に拠りますとね。
天気●30年!
憲武●去年で40周年です。2011年に無期限活動休止を発表したんですが、去年活動休止の休止を発表しました。期間限定ってことらしいですが。
で、岡田徹なんですが、事実、ムーンライダーズの「イスタンブール・マンボ」収録の「週末の恋人」はダミ声で歌ってます。
天気●「イスタンブール・マンボ」は3枚目ですね。そこまでは買ってました。「週末の恋人」。ああ、憶えてる。当時、音的にも声的にもハース・マルティネスの2枚目「Big Bright Street」と似てる! と思った曲でした。
YouTubeで見つからないので、amazonの視聴。≫こちら
イスタンブール~もビッグ・ブライト~も発売は同じ1977年なので、パクリってことじゃないんですけどね。
憲武●へえー、似てますね。
天気●うん、ちょっとだけね。ちょっとだーけー♪ しゃーぶるーならー♪
憲武●岡田徹さんは歌はもう聞かなくてもいいかな、と。でも素の声をちょっと聴いてみたいですけどね。「架空映画音楽集」というアルバムが好きです。
(最終回まであと995夜)
(次回は西原天気推薦曲)
0 comments:
コメントを投稿