〔今週号の表紙〕
第541号 宇治川と青鷺
山中西放
青鷺の猟の不動の姿はいつ見ても孤高の風格を感じる。白鷺は浅瀬に屯して餌を漁るのに対して、青鷺は必ず一匹だけで岸辺に立つ。にも拘らず珍しくここは約50mごとに青鷺が立っていた。余ほど魚が集まるのだろう。
天ヶ瀬ダムと発電所の排水で一気に水嵩を増す中之島周辺は宇治で一番の激流の場所。この青々と逆巻く水の表面に来る魚を鳥が瞬時に啄むのだが、その寸時に出会ったことはない。
観光名所の裏側で人に知られず悠久の営みが続く。
ここ宇治は鵜飼の名所、観光客の興味を引く鳥は、檻に休ませてある鵜ぐらいのものである。
『鳰浮いてなごりの池に夕茜』の元市長の句碑がひっそりと観光会館の前にある。
0 comments:
コメントを投稿