2018-09-09

【山田耕司句集『不純』を読む】『不純』制作ノート  山田耕司

 特集【 山田耕司句集『不純』を読む】 
『不純』制作ノート  

山田耕司

制作に至るまで

山田耕司はすでに第一句集を出しています。『大風呂敷』といいます。

この句集は、自分で編集しブックデザインも行いました。2010年のことです。

句集というものは、普通の人が出すものではありませんし、俳人でもそうそう何冊も出せるものではありません。そこで、「せっかくだから」という感覚が頭をもたげてくる場合があるのです。「せっかくだからこんな句を入れておこう」とか「せっかくだからこんなデザインにしよう」とか。

それを人は「こだわり」と呼んでくれるかもしれませんが、今回はそういう感覚から距離を取りたかったのです。

そう願うのはいいとして、それを実現するためには、自分の作品を預けることができるプロデューサーの存在が必要になります。
 
さて、2017年に、『天の川銀河発電所 Born after 1968 現代俳句ガイドブック』という本が佐藤文香さんのプロデュースで作られたのはみなさんもご存知のことでしょう。この出版に際して、佐藤さんから「対談の相手に」ということでお誘いがかかりました。どういういきさつで山田をご指名してくださったのかはさておき、結局、対談は実行されたのでした。2017年5月20日のことです。
 
この対談が終わって、山田は佐藤さんに「句集を出したい。プロデューサーを引き受けてくれる人を探している」という旨を話しました。
 
佐藤さんは「どうして私に依頼しないんですか?」といいました。
 
ここで、「あ、この人でした」と山田の腹は固まりました。
 
左右社から出そうというのもここで決まったのだと記憶しています。
 
2017年は山田が個人的に多忙だったため、実際の制作は年を越してからということに。
 
2018年に入って、3月末に左右社で顔合わせ。5月には決定稿が固まり、7月31日に句集『不純』は刊行されました。

佐藤文香の仕事

山田からの作品提出以降、佐藤さんの編集がスタートしました。章段を作り、句を並べ替えていくのです。
 
山田からのデータをプリントアウトし、一句一句を切り分けて並べ直してくれました。その際に作業で用いた手作りの冊子を後日拝領しました。山田耕司のためのこの世に一冊しかない『不純』です。
  
各章のタイトルは、佐藤さんのセレクト。第一章「ボタンA」は作品中から、それ以外は、「大風呂敷箴言集」から佐藤さんがピックアップしてくれました。
  
2011年から2013年ころにかけて、山田耕司がtwitterでつぶやいたフレーズを、関悦史さんがまとめてくれたものが「大風呂敷箴言集」です。
 
https://togetter.com/li/270052 
 
第五章「山田耕司vs山田耕司」のアイデアは佐藤文香さんによるものです。句の対戦カードも佐藤さんによる編集です。
  
「あとがき」は無しにしようというのも佐藤さんの提案。正直なところ、これにはホッとしました。
  
装画には、山口晃さんの作品を使わせていただくことになりました。
  
山口さんと山田耕司は、群馬県立桐生高校の出身です。山田の方がちょっと年上。山田は高校在籍中に山口さんと一緒に活動したことはありません。桐生高校文芸部の部誌「洋燈(ランプ)」の表紙がめちゃくちゃカッコ良い年があって、それは山口晃氏が描いていたのでした。
  
このようなもろもろのいきさつとは全く関係なく、佐藤さんが作品の雰囲気に合うものとして提案してくれたのが山口晃氏の作品。これには驚きました。 
 
どの絵がいいかということになり、私は「電柱一択」と申しました。その後は桐生のルートではなく、左右社からギャラリーへと話が渡り、装画として使わせていただくことになりました。 
 
佐藤さんと左右社で相談して依頼したブックデザイナーは、松田行正さんと杉本聖士さん。松田さんは左右社から出版された『RED ヒトラーのデザイン』でご存知の方もいらっしゃるかと。『天の川銀河発電所』のデザイナーさんでもあります。
 
題字のピンクのラメはマツダオフィスのチョイスです。 


>> 左右社HP『不純』

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