【週俳600号に寄せて】
俳句の幸福
樫本由貴
週刊俳句の嬉しいところは、そこに読者がいるところです。ネット媒体なので、読んだことの可視化が迅速に行われます。そして、週刊俳句を読んだその「読み」を他者と話すことも容易です。
私は普段、あまり句会をしないので、俳句の読みを人と喋る機会が多くありません。そんな中で、週刊俳句という「読む」ことに意識のあるウェブマガジンがあるのは幸いでした。「読む」人が多くいて、その「読む」行為をまた読むことができる。この人は何を思って読み、俳句をどう立ち上げようとしているのか、どんな読み方を使って読んでいるのかなど、人の読みを知り、学ぶのはとても楽しい。自分の句の読みを他者と照らし合わせ、相手の読みに対して質問したり、されたり、という営みは、実はとても貴重です(俳句を書くのは一人でできるけれども)。
イーザーの読書行為論には、「文学作品は、読書過程においてのみ独自の姿を示す。」(注)とあります。
俳句が言葉によって書かれたものである以上、よい読み手がたくさん現れるのは俳句にとって幸福なことであるはずです。
週刊俳句が今後も読み手と読み手の出会いの場であり、そして多くの読み手を受け入れる場でありますように。
600号おめでとうございます!
(注)ヴォルフガング・イーザー 訳・轡田収『行為としての読書―美的作用の理論』岩波書店 1982
2018-10-21
【週俳600号に寄せて】 俳句の幸福 樫本由貴
Posted by wh at 0:04
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