2018-10-21

【週俳600号に寄せて】 ウラの目出度さ 浅沼璞

【週俳600号に寄せて】
ウラの目出度さ

浅沼璞


600という「数」に意味があろうがなかろうが、古来より「数」には目出度さがある。俳文学の場合は特にそうで、西鶴の矢数俳諧、虚子の句集、いずれも化け物的な「数」の目出度さである。

週俳600号もその例にもれないが、連句の懐紙のようにウラがあるのもまた目出度い。ウラハイ、いいひびきだ。はるかウラバンダイを思わせる。

ここのところの記事を通覧しても、「月曜日の一句」「木曜日の談林」「金曜日の川柳」「週末俳句」「ためしがき」、さながら五色沼の如き眺望である。

エメラルドグリーン、コバルトブルー、ターコイズブルー、エメラルドブルー、パステルブルーと、美しい湖面の点在する五色沼。道なだらかにして歩行距離短く、老若男女問わぬ散策コースながら、熊の生息地にして、熊鈴など最低限の安全対策を要す。これまたウラハイの如し。気楽にたのしめるけれどスリルもある。

この目出度さ、700、800と「数」を重ねてほしい。

  水漬きつゝ新樹の楊ましろなり   秋櫻子 (五色沼の句碑より)

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