2018-12-30

【2018週俳のオススメ記事 1-3月】目出度さがどさっと 岡田由季

【2018年週俳のオススメ記事 1-3月】
目出度さがどさっと

岡田由季


第559号(1月7日)は、新年詠特集。週俳の毎年の恒例行事です。たくさんの方の新年詠が並ぶのは壮観で、元日に、分厚い新聞が「どさっ」と届くのと同じような目出度さがあります。2019年も、もちろん募集しますので、多数お寄せくださいますよう、お願い申し上げます。(などと書いておきながら、個人的には、新年詠は、かなり苦手で、毎年苦戦します。ただ、作れないだけで、読むのは楽しいのですが。)

1月から3月の10句作品は、関西在住の方に多くご登場いただいています。第564号の野口裕さんもその一人です。野口さんは、週刊俳句の初期から8年間の長期にわたり「林田紀音夫全句集拾読」の連載を続けられていたので、週俳読者にも親しみ深いかと思います。2017年12月に句集『のほほんと』を上梓されました。

同じ564号に今井聖さんの「俳句の要件 金子兜太の場合」。兜太の句と虚子の句を対比させ、その共通点と違いをあげながら、それぞれの俳句の要件を論考されています。この号は2月11日なのですが、その10日ほど後に、金子兜太さんの訃報が届いたことを思うと感慨深いです。

第566号10句作品の川嶋健佑さんは、関西から愛媛県松野町に「地域おこし協力隊」として移住し、芝不器男記念館に着任されています。芝不器男記念館は不器男の生家を保存した場所で、資料の展示とともに、句会や文化交流のイベント等が行われているようです。残念ながら私はまだ訪れたことがないのですが、機会のある方は、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

またその第566号から小津夜景さんの「・ハ」の連載がスタート。タイトルからして可愛らしく、当番として目次を作成している時にも、カラフルな文字の並びに楽しい気分になりました。特に印象に残っているのは第567号の「渓谷のハイキング」のエピソード。川辺でバーベキューをしたりと、本当に楽しそうなのです。時代や場所は違っても、吟行の楽しさは、現在私たちが体験しているものと通じると感じました。

第570号には高山れおなさんの「乙未蒙古行」50句。モンゴルを舞台とした大河小説のような、壮大な読み心地です。また、高山れおなさんは、同じ号に「福田若之『自生地』を読む」で熱のこもった句集評を展開されています。質量ともに読み応えがあり、高山れおなさんの世界にひたすら圧倒される号となっています。

これらの記事の充実とは別に、新年詠に遅れた一句がその次号、第560号で「新年詠以後の世界」として妙に目立っていたり、通常は、作品の翌月に掲載される【週俳××月の俳句を読む】の11月分が、第564号(2月11日)にさりげなく掲載されていたり、といった、週俳ならではの「ゆるさ」も随所にあり、そんなところに着目していただくのも、一興かもしれません。

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