空へゆく階段 №2 解題
対中いずみ
2018年10月20日、宇佐美魚目さんが亡くなりました。その日、夜空にはきれいな月が上がっていました。兎の耳までくっきり見える、明るい十三夜でした。
田中裕明が亡くなって、「ゆう」が終刊した年の夏、私は名古屋の魚目さんの句会に何度か通いました。ロマンスグレーの髪に赤いベストがとても似合っておられました。〈ことごとく挽歌なりけり青嵐〉という拙句を特選でとって下さり、名乗りを上げた私に、うんうんとうなずいて下さり、「よううたってます。やはり俳句はうたわねばなりません」と講評して下さいました。はりのあるあたたかな声でした。
「わが冬蔵さん」を収めた『宇佐美魚目傘寿記念文集』は2005年8月に刊行されています。その頃、もう裕明はこの世にはいませんでしたが、文章のなかでは、青年裕明と、裕明が畏敬していた魚目さんとのやりとりが遺されています。
その墓に蔓あそぶらむ十三夜 裕明(『夜の客人』以後)
≫田中裕明 わが冬蔵さん
2019-01-20
空へゆく階段 №2 解題 対中いずみ
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