2019-01-20

〔今週号の表紙〕第613号 渓流 大江進

〔今週号の表紙〕
第613号 渓流

大江 進


手元の歳時記を見ると冬の季語として「水涸る」があって、説明に冬は降水量が少なく、沼や川の底が見えたり、滝が細くなって止まったりする」とある。「冬の川」「冬の滝」もほぼ同じようなイメージである。

しかし鳥海山に降る膨大な雨や雪と、火山としてはまだ若い山であることによる相乗効果のためだろう、当地では冬だからといってそのようなことはない。雪景色の中で川にはとうとうと水が流れているし、滝は表面こそ一次的に凍ることはあっても裏側に湧水が流れていることが多く、寒気が少し緩むと激しい落水がまた表に現れる。

写真は流水のほぼ全量が溶岩末端から出る湧水による渓流である。水量は夏場とさほど変わらない。中央に丸い石があるが、直径は60cmくらいで、草や苔にすっぽりと覆われている。もっずっと小さい石も同様だ。草が枯れ色になったことで、苔の緑がとても鮮やかである。

こうした渓流の光景は湧水の川でないと見ることができない。もし雨水(うすい)主体の川であれば増水した時に石は容易に転がるし、逆に干上がった時には草や苔も枯れてしまうからである。いや、そもそも石に草や苔が生えるような悠長な時間はないはずだ。


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