2019-02-03

空へゆく階段 №3 解題 対中いずみ

空へゆく階段 №3 解題

対中いずみ

田中裕明は1982年1月号から6月号の「青」に文章を連載している。「雑詠鑑賞」というタイトルからして、本来は雑詠欄の鑑賞を同人が書くというコーナーである。前号までごく尋常なスタイルで書かれていたが、この号からがらりとスタイルが変わった。当時、裕明は一人で「青」の編集をしていて、5月号を最後に編集から離れた。いわば置きみやげのように書かれた連載である。裕明、22歳。この年、京都大学を卒業して村田製作所に就職し、同年、第28回角川俳句賞を受賞している。受賞の際のことば「夜の形式」については、四ッ谷龍著『田中裕明の思い出』(ふらんす堂)に全文が掲載され、さらには四ッ谷氏ならではの深い考察も施されているのでご存知の方も多いだろう。

本シリーズは、「俳句読者論」について書き継がれていて、その全六回を順次掲載してゆくが、これは「夜の形式」へとつづく序章のようにも読める。思索する青年裕明の横顔が浮かんでくる連載のスタートだ。この頃つぎのような句が詠まれていた。

 一刻はなほ枝先の帰り花  裕明

 帰り花たとへば月の穢と言へり  同

 ほうとなく夕暮鳥に菜を懸けし  同


田中裕明 雑詠鑑賞

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