2019-03-17

後記+プロフィール621

 後記 ◆ 上田信治


蚊帳をうめる -旧日本銀行広島支店- from Muku Kobayashi on Vimeo.

勝手なことをやっていて、いいなあ、という。

この人の作るものが「かわいく」デザインされていることは、その自由のアトモスフィアを生み出す要因になっていると思うのです。モダンアートの純粋主義に恭順的でないことに、ちょっと意味がある。

もちろん、作家はほとんどの場合、無意識に、体質のようにして、それぞれの戦略を選択するのでしょうけれど。


田中裕明が「青」に書いた文章を読み、この人は、どれだけ遠いことを思いながら書いていたのだろうと。その遠さだけは、自分にも感じられるということに、感謝しつつ。

(俳句は、読者がそれを読みつつ作るのだとすれば、俳句を書くということは、その複数のコンテクストの総体、すなわち、初手から書き手単独では書ききれないものを同時進行させつつ書くことなのではないか……というようなことが、書いてあるでしょうか?)

(そしてそのころ裕明が書いていた句が〈冬山に土龍の齢たづねけり〉〈煤の湯をもらひに傘をさしてゆく〉だということが、対中さんの解題で知れることが、またありがたい)



それではまた、次の日曜日にお会いしましょう。

no.621/2019-3-17 profile

対中いずみ たいなか・いずみ
1956年生まれ。田中裕明に師事。第20回俳句研究賞受賞。「静かな場所」代表、「椋」会員。句集に『冬菫』『巣箱』『水瓶』。  

 ■津川絵理子 つがわ・えりこ
1968年、兵庫県明石市生まれ。91年「南風」入会。2007年、俳人協会新人賞、角川俳句賞受賞。「南風」共同主宰。句集『和音』『はじまりの樹』
  
中嶋憲武 なかじま・のりたけ 

1994年、「炎環」入会とほぼ同時期に「豆の木」参加。2000年「炎環」同人。03年「炎環」退会。04年「炎環」入会。08年「炎環」同人。

■岡本遊凪 おかもと・ゆうなぎ
1949年福井県生まれ、大阪府在住、(一社)日本連句協会会員、「川柳北田辺」会員、「川柳スパイラル」会員。

西原天気 さいばら・てんき
1955年生まれ。句集に『人名句集チャーリーさん』(2005年・私家版)、『けむり』(2011年10月・西田書店)。笠井亞子と『はがきハイク』を不定期刊行。ブログ「俳句的日常」 twitter

■上田信治 うえだ・しんじ
1961年生れ。句集『リボン』(2017)共編著『超新撰21』(2010)『虚子に学ぶ俳句365日』(2011)共編『俳コレ』(2012)ほか。

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