中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜
カウシルズ「雨に消えた初恋」
憲武●春陰とはよく言ったもので、雨がちの天気が続いてます。という訳でカウシルズ「雨に消えた初恋」(1967)。
憲武●故大橋巨泉がビートポップスで、「牛も知ってるカウシルズ。ウッシッシ」と天才的駄洒落の曲紹介してたアレです。
天気●素晴らしい駄洒落です。
憲武●この頃、60年代終わりから70年にかけてですけど、家族体裁のバンドがいましたね。オズモンドブラザーズとかジャクソンファイブとかパートリッジファミリーとか。
天気●50年代から隆盛を続けた米国ホームドラマの流れでしょうか。家庭・家族=疑いなき美徳という神話の最後の時期ですね。
憲武●パートリッジファミリーは、ドラマの演出上の架空の家族バンドですけど、牛も知ってるカウシルズは、実際の家族なんです。
天気●うん。顔がみんな似てるもん。
憲武●雨音とハープのオーバーダビングが印象的なんですけど、お母さんがハープ弾いてたら、もっとよかったかな、と思いますけどね。
天気●突っ立って見守ってます。
憲武●タイトルのとても詩的なthe rain,the park and other thingsが、邦題になると「雨に消えた初恋」。一挙に歌謡曲感が増しますね。
天気●当時ポップスの邦題では「恋」とか「消える」が多かった。
憲武●ま、パートリッジファミリーのデビュー曲も「悲しき初恋 (I think I love you, 1970)」。初恋は消えたり悲しいものなんですね。
天気●「悲しき」も多かったですね。雨音とかカンガルーとか、なんでもかんでも、悲しい。
憲武●コーラスの♪I love the flower girlってフレーズが好きで、そこだけ鼻歌で歌ったりしますが、このloveから「初恋」って言葉が出て来たのかなと。もっと広い意味だと思うんですけどね。
天気●公園に花売り娘がいたのかな?
憲武●歌詞は、「雨の日に公園へ行ったら、花の髪飾りの女の子に出会った。二人で歩いていると、突然晴れて来て、彼女はいなくなってしまった。掌に花だけが残っていた」てな歌詞です。現在も末娘の、このPVではおしゃまな感じのスーザンを中心に健在です。
天気●ええーっ! 今も? それはすごい。
憲武●スーザンは、ぼくと年齢が多分違わないので、同級生を見てるようなイメージを勝手に持ってます。頑張ってほしいです。
(最終回まで、あと913夜)
(次回は西原天気の推薦曲)
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