2019-10-20

空へゆく階段 №19 解題 対中いずみ

空へゆく階段 №19 解題

対中いずみ


俳誌「街」15号に求められて書いた一文を、のちに「水無瀬野」84号に転載した。これは「ゆう」を始める前年の号である。「ゆう」では創刊号から「詩情」を全面に打ち出したが、そこに至る思考の一端が示されているようだ。虚子の「客観写生」と「花鳥諷詠」は長く俳壇をリードしたキーワードだったが、裕明はそれに代わるものとして「詩情」を考えていた、ということは興味深い。

かつて、高柳克弘氏が、

「俳句は詩なのだろうか?」
この問いかけに、田中裕明ほどにはっきりと、しかもすがすがしく、「はい」と答えた俳人はいませんでした。

と、表白したように(「昼寝の国の人」『ふらんす堂通信』別冊№2)、当時の俳壇において「詩」「詩情」という言葉はあまり見かけることはなかった。今から見れば不思議なほどに。


≫田中裕明 詩情の速度

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