2019-10-06

後記とプロフィール650

後記 ◆ 上田信治



特集『切字と切れ』お送りいたしました。



ご説明しなければいけないのは、島田牙城さんと、田中惣一郎さんに、ご寄稿いただいた10句のこと。

お二人には、例の「十八字切字」をなるべく多く使用した10句という趣向でお願いいたしました。

連歌・俳諧で秘伝とされた18の切れ字。かな・もがな・し・じ・や・らん・か・けり・よ・ぞ・つ・せ・ず・れ・ぬ・へ・け・に。このうち、「せ」「れ」「へ」「け」は動詞の命令形語尾、「し」は形容詞語尾で、「に」は副詞「いかに」のこと。他は助動詞と終助詞。 (「大辞林」より

趣向自体は、れおなさんの発案。そういうことを頼んで、遊んでもらえそうな方、と考えていた時、れおなさんから田中さんのお名前が、上田から島田さんのお名前が出ました。

田中さん、島田さん、ありがとうございました。



座談会は、御覧の通り、たいへんな分量になりました(かれこれ2万5千字超)。これでも、はしょっていただいてますからね。研究者体質の方が3人集まると、こうなる。おそらくリアルで集まっていただいても、こうなったでしょう(笑)。

相子さんの『切字と切れ』の書評も、すばらしくて、こちらを先にお読みいただいてから、座談会に移っていただくと、頭に入りやすいかも知れません。

そして、田中道雄さんの1969年の論文「〝古池や―〟型発句の完成 」、こちらも、実におもしろいです。座談会で話題になっていた、上五の「間」の話も出てくるんですよ。田中先生、ご健在だそうです。(田中さんのプロフィールは、こちらをごらん下さい)

あと、座談会で、上田が参考に挙げた、カレル・フィアラ「古典の係り結びと現代語の文型」http://www.let.osaka-u.ac.jp/~kinsui/kls/discuss_fiala2.pdf も面白いですよ。

上代〜中世の日本語を、チェコ語、英語と比較しながら、名詞文≒喚体句が、どう成立、変遷していったかを、論じられています。

ぜひ、ゆっくりお楽しみ下さい。

来週以降も、過去のバックナンバーと共に、PC版表示(スマホからでも選択できます)の右サイドから入って、お読みいただけます。



それではまた、次の日曜日にお会いしましょう。

no.650/2019-10-6 profile


■島田牙城 しまだ・がじょう
1957年京都市生まれ。波多野爽波に師事。「青」編集長などを経て、現在「里俳句会」代表、邑書林代表。句集『火を高く』『袖珍抄』『誤植』。評論集『俳句の背骨』 邑書林 俳句の里の交差点  

田中惣一郎 たなか・そういちろう 
1991年岐阜県生れ。

■相子智恵 あいこ・ちえ
1976年長野県生まれ。1995年、小澤實に師事。「澤」同人、俳人協会会員。第55回角川俳句賞受賞。共著に『新撰21』『虚子に学ぶ俳句365日』『子規に学ぶ俳句365日』『俳コレ』。

筑紫磐井 つくし・ばんせい
1950年生まれ。同人誌『豈』発行人。句集『野干』『婆伽梵』『花鳥諷詠』(『セレクション俳人 筑紫磐井集』所収)。評論集『飯田龍太の彼方へ』『定型詩学の原理』、編著『俳句教養講座全三巻』ほか多数。

高山れおな たかやま・れおな
1968年、茨城県生まれ。 句集『ウルトラ』『荒東雑詩』『俳諧曾我』『冬の旅、夏の夢』。評論集『切字と切れ』(邑書林)を上梓。

■青木亮人 あおき・まこと
1974年、北海道生まれ。近代俳句研究者、愛媛大学。評論集『その眼、俳人につき』(邑書林)など。

■小池純代 こいけ・すみよ
1955年生まれ。歌集『雅族』(1991年)、『苔桃の酒』(1994年)、『梅園』(2002年)。

中嶋憲武 なかじま・のりたけ
1994年、「炎環」入会とほぼ同時期に「豆の木」参加。2000年「炎環」同人。03年「炎環」退会。04年「炎環」入会。08年「炎環」同人。

野木まりお のぎ・まりお
元「銀化」同人。現在「群青」会員。パリ在住。

■西原天気 さいばら・てんき
1955年生まれ。句集に『人名句集チャーリーさん』(2005年・私家版)、『けむり』(2011年10月・西田書店)。笠井亞子と『はがきハイク』を不定期刊行。ブログ「俳句的日常」 twitter

■上田信治 うえだ・しんじ
1961年生れ。句集『リボン』(2017)共編著『超新撰21』(2010)『虚子に学ぶ俳句365日』(2011)共編『俳コレ』(2012)ほか。

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