第637号から、歌人・小池純代さんの、月イチシリーズ、「七七七五の話」がはじまります。
七七七五は、都々逸の形式。シリーズは、たとえばマラルメや「詩経」の詩句を、都々逸形式に翻案しながら、十七音でも三十一音でもない「うた」を試しつつ遊びつつ、進んで行きます。必読。
同号に『今井杏太郎全句集』を読む会。西村麒麟、福田若之、小川楓子、生駒大祐、鴇田智哉による、この作家を考えつづけることの意思表明ともいうべき会の記録。
の「週俳6月の俳句を読む」。牟礼さんの〈鞄に犬静かな六月の電車 柳本々々〉が「詩経「六月」の詩句〈六月棲棲/戎車既飭〉を下敷きにしている」との指摘におどろく。
同じく柳元佑太さんの「時評に少し触れて」の、上田時評への擁護に感謝。
福田若之さん「〈文学的〉な問いを退けて──神野紗希の時評から考える」。神野紗希「俳句」2019年6月号の時評のジェンダー論から、論点をずらして拡散させてしまって、それでいいのか、という指摘。
「作者と語る『水界園丁』」生駒大祐×福田若之
今年のエポックと言っていい句集について、作者と、福田さんが語りあう。思ったんですけど、生駒さんは、今、俳壇屈指の「すごい顔」をしていると思う。あんな目をしてる俳人、同時代にいないですよ、もう。
中山奈々「溜まりて 対中いずみ句集『水瓶』第7回星野立子賞受賞祝賀会レポート」は、祝賀会の第一部、句集を〈語る〉会の記録で、仮屋賢一、青木亮人、津川絵理子の3人のスピーカーによる読み解きの詳細な記録。
対中いずみさんによる「空へゆく階段」(田中裕明の短文の拾遺とその解説)も、続いていて、われわれ後進のものに大変ありがたい。
には、上田信治「エスペラントの夢 俳句の批評は役に立つのか」。今年の夏から秋にかけて、自分は、ずいぶん文章を書きましたが、こんなことも考えていたという。
西原天気さんの「句集を読む」シリーズは「ふけとしこ『眠たい羊』の一句 首を打つ」。
いっけんすんなり見たままを詠んだようでいて、多声的(ポリフォニック)な仕掛けが凝らされて、愉快。
上田の連続投稿、生駒大祐さんの「『水界園丁』の方法について(前編)プレテキストと複雑」
2019は『眠たい羊』『水界園丁』『楡の茂る頃とその前後』(藤田哲史)『星糞』(谷口智行)『朋哉句集 二』(若杉朋哉)と、他にもいろいろ出て、楽しかったです。
には、天気さんの、樋口由紀子『めるくまーる』津田ひびき『街騒』、雪我狂我『アラバマの月』それぞれよりの一句評。
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