2019-12-22

中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜 ビートルズ「アイム・ダウン」

中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜
ビートルズ「アイム・ダウン」


憲武●ビートルズとしてのポールの曲って事で、すごい悩みました。なかなか1曲が決まらなくて。で、選んだのがこの一曲です。「アイム・ダウン」


憲武●この曲は、公式アルバムに収録されてなくて、のちに「パスト・マスターズ」というシングル版だけを集めたアルバムに収録される訳ですが、「ヘルプ」のB面として、1965年7月23日に発売されました。

天気●当時は知らなくて、あとになってから聞いたことはあるって曲。アルバムばかり聴いていたからですね。

憲武●ポールのノリがスゴイんですよ。「のっぽのサリー」でもラストに向かって滅茶苦茶に爆発していくんですけど、こっちの方が、より拍車がかかってる感じです。

天気●シェア・スタジアムのライブといえば、数年前でしたか、日本で上映されましたね。新宿で観ました。

憲武●はい。私も観ました。で、歌詞の内容は、なびいてこない恋人に向かって、イライラして、悶々として、どうしようもなく落ち込んでる男の叫びですけど、そういった悲しいことを楽しく歌ってるんですね。暗く嘆くんじゃなくて、明るく元気いっぱいに、怒り狂ってる。ロックン・ロールしてます。

天気●バラードやカントリーっぽいのを歌うときと、はっきり声を換えますね。

憲武●そうですね。ポールの喉にはエミュレータが内蔵されてるみたいですね。ポールのシャウトに対してジョンの肘でのグリッサンドの掛け合いが、さらに無茶苦茶な状況を作ってます。

天気●いい意味でヤケクソ。

憲武●この曲では、みんなハメを外してるんですが、リンゴのドラミングが、しっかりと手綱を引き締めてて、散漫にならずにいることが出来てますね。

天気●ほんと。自分たちの音が、歓声で聞こえない状況だろうに、リズムはかなりきちんとしている。

憲武●静かな曲をきれいな声で歌うポールもいいんですけど、力強く狂っていくポールのシャウトには、ゾクゾクする感じありますね。アイムダウンです。 


(最終回まで、あと875夜)
(次回は西原天気が推すポール・マッカートニーの1曲)

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