2020-05-31

中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜 はちみつぱい「塀の上で」

中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜
はちみつぱい「塀の上で」


天気●日本の昔のバンドという前回までの流れで、はちみつぱい「塀の上で」です。


天気●ムーンライダーズの前身といっていいんでしょう。1973年のアルバム「センチメンタル通り」の1曲目です。梅雨も近いし、ジメジメした雨の歌がいいかな、と。

憲武●このアルバムは、ヘビロテしてました。歌詞にもあるんですが、どうしても羽田あたりの夜明けの雨降りのイメージがあります。鈴木慶一の地元ですからね。

天気●「外はそぼ降る鈍色の雨/牛乳瓶に注ぎ込む雨よ♪」。当時、鈍色という語に「へえぇ」と感心しました。

憲武●もう半世紀近く前なんですね。現代からみると、どの曲の歌詞も文学的な雰囲気あります。

天気●飲み干した牛乳瓶を外に出しておく、そこに雨が降り注ぐ、というのは、なんだかとてもリアルですが、いまはもうない風景ですね。

憲武●腰に手を当てて仁王立ちして瓶から牛乳飲む、という人が昔はいくらでもありましたが。

天気●失恋の歌。「ヒールが7センチのブーツを履いて、ぼくを踏み潰して出ていった朝よ♪」って、もう、すごい泣いてます。

憲武●この歌詞、なんかヒッピーテイストがあるんですよね。黒髪のほぼストレートの真ん中分け長髪のヒゲ生やした男が、塀の上で泣いてるイメージです。

天気●貧乏なアパート暮らし=同棲に見切りをつけて、出ていく女性。捨てられた男がいじいじ涙している、という。で、音的には、ザ・バンドを意識したような感じ。

憲武●ヨーロッパというよりは、アメリカですね。グレイトフルデッド調もありますか。

天気●そうですか。グレイトフルデッドはギターバンドな感じなので、それはあまり感じないですね。ヴァイオリンが入ってるぶん、センチメンタルの度合いが濃い音です。

憲武●武川雅寛の存在が大きいですね。


(最終回まで、あと854夜)
(次回は中嶋憲武の推薦曲)

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