〔今週号の表紙〕第692号 天使魚
西原天気
エンゼルフィッシュを「天使魚(てんしうお)」と直訳風に呼ぶのは、俳句独特・俳句に限ってのことだと思っている。5音だしね。元の7音よりも使い勝手がいい。熱帯魚屋さんで「天使魚」と言って通じるのだろうか?(調べていない)。ちなみに、広辞苑・第三版に「天使魚」の記載はない。
音数(5音)に合わせた、語のアレンジを、俳句は、よくやる。「二ン月」とか「ほうたる(蛍)」とか「ぼうたん(牡丹)」とか。良否はともかくとして、好悪でいえば、好きではない。
ところが、《パンにバタたつぷりつけて春惜む・久保田万太郎》の《バタ》という縮め方は、不自然な捻じ曲げとは思わず、なんだか洒落ている、と思ってしまう(原理原則で暮らしていない。困ったことです)。
あ、そうそう、エンゼルフィッシュの話です。悠然と水中に棲まうこの魚、季語だからというのではなく、夏に見ると、涼しげなんですよね。
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