【空へゆく階段】№34 解題
対中いずみ
22歳で「青賞」を受賞した。青賞は、年度賞のようなもので、新作ではないが、「青」内部の審査員7名の満評を得た。このとき、審査員の一人だった宇佐美魚目は「審査のあとに」という評言に以下のように記している。
獵期はやとしごろの目のうつくしく
丈たかき草に一軒煤拂
咳の子に籾山たかくなりにけり
探梅やここも人住むぬくさにて
いつまでも白魚の波古宿の夜
雪の桑宿出でしよりひとりみち
夕東風につれだちてくる佛師達
春の磴よくぞ大雨とはなりぬ
遠きたよりにはくれんの開き切る
鉋抱く村の童やさくらちる
初蛙料理の間とて暗かりき
軒しづくごしに鞍馬の夏柳
この旅も半ばは雨の夏雲雀
夏桑に石地を来たるてふてふよ
桐一葉入江かはらず寺はなく
花火屑日の衰へに墓小さき
悉く全集にあり衣被
雪舟は多くのこらず秋螢
穴惑ばらの刺繍を身につけて
好きな繪の売れずにあれば草紅葉
この人は現在、大学生であり有為の人と期待している。作品は安定していて流石と思わせたが、もうぼつぼつ狭く険しい自分の道を歩く時が来ているのではないだろうか。どうせ泥にまみれるなら若い時と思うが如何。20句は以下の通り。
獵期はやとしごろの目のうつくしく
丈たかき草に一軒煤拂
咳の子に籾山たかくなりにけり
探梅やここも人住むぬくさにて
いつまでも白魚の波古宿の夜
雪の桑宿出でしよりひとりみち
夕東風につれだちてくる佛師達
春の磴よくぞ大雨とはなりぬ
遠きたよりにはくれんの開き切る
鉋抱く村の童やさくらちる
初蛙料理の間とて暗かりき
軒しづくごしに鞍馬の夏柳
この旅も半ばは雨の夏雲雀
夏桑に石地を来たるてふてふよ
桐一葉入江かはらず寺はなく
花火屑日の衰へに墓小さき
悉く全集にあり衣被
雪舟は多くのこらず秋螢
穴惑ばらの刺繍を身につけて
好きな繪の売れずにあれば草紅葉
0 comments:
コメントを投稿