2020-08-09

中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜 Kurosuke「Moscato」

中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜
Kurosuke「Moscato」


天気●あのですね、音楽って、国境があるから面白いってとこあるじゃないですか? 「音楽には国境がない」という言い方は、国籍や人種、文化に関係なく愉しめるって意味でわかるんですが、個別に音楽が生まれてくるのは、固有の文化であり、国であり地域であったりするわけですよね。メキシコにはメキシコの、北欧には北欧の、日本には日本の。でもね、このところ、見ていると、どこからどんな音楽が出てくるかわからないとこがある。情報の伝わる速度が、以前と比較にならないくらい迅速なこともあるんでしょう。音楽もグローバル化しているということもいえる。……今回、前置きが長いですね。つまり、YouTubeを眺めていて見つけたこれ。



天気●インドネシアの人です。インドネシアのポップスといえば、古いけどダンドゥットとかあるわけですが、その雰囲気はぜんぜんない。純然たるシティポップです。70年代のフュージョン的な懐かしさも漂う、軽くて明るい音。

憲武●これ聴いた時、うわー、懐かしいと思いました。確かにその昔のシティポップと呼ばれた音楽そのものですね。松原みきとか思い出してしまいました。最近だと西寺郷太とか一十三十一(ひとみとい)ですかね。ドライブに合いそう。

天気●芸名の Kurosuke は映画『となりのトトロ』に出てくる「まっくろくろすけ」から来ているらしく、日本のサブカルチャもきっと好きなんだろうなあ、と。クロスケでインドネシアでシティポップ。属性を並べただけでは、ぜんぜん一本の線が通らない。

憲武●カオスですね。

天気●でもね、考えてみれば、どこに暮らしてもどこで育っても、ルーツになる音楽は人それぞれだし、世界中に「都市」あるいは「都市的感性」はあるんですよね。

憲武●都市があるところでは、そういった共通の都市性というような感性は育ちますね。きっと。

天気●この、足だけ映した動画、かわいいし、音も歌唱もかわいい。結局、背景はなんだっていいや、気持ちよければ、という気にさせてくれたですよ。


(最終回まで、あと844夜)
(次回は中嶋憲武の推薦曲)

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