2020-09-20

後記+プロフィール700

 後記 ◆ 村田 篠


今週で「週刊俳句」は700号を迎えました。創刊してから13年半も続いてきたのは、ご投稿下さったみなさま、お読み下さったみなさまのおかげです。ほんとうにありがとうございます。

歴代当番として活躍して下さった山口優夢さん、村越敦さん、生駒大祐さん、現役当番の福田若之さんと岡田由季さんが、700号に文章を寄せて下さいました。若い俳人たちが学生時代から関わって下さったことは、「週刊俳句」が「俳句について書く場」として広く定着することに、大きな力をいただいたと思っています。

山口優夢さんは虚子の句集「五百句」にヒントを得て、企画をひとつ立てて下さっています。詳しくはご寄稿をお読みいただきたいと思いますが、13年の俳句の歳月を辿ることで何が見えてくるのか、とても楽しみです。


ネット上で俳句を読んだり発表したりすることは、今では当たり前になりましたが、13年前はまだそうでもありませんでした。「週刊俳句」は、データとしての横書きとは別に、俳句の縦書き画像を今でもアップしていますが、初期の頃にそういう方式をとったのは、俳句を横に読むことに抵抗のある人が、今よりははるかに多かったからではないかと思います。

私は日常的にネットを使うようになって25年ほどですが、PCに文章を横書きすることには最初から抵抗がなく、俳句もしかりでした。吟行などでノートに手書きするときは縦に書きますが、PCへの保存は当然横です。とはいえ、横書きの句集には、さすがにまだお目にかかったことがありません。紙の書籍はいまも縦書きがふつうですから、日本人の目の動きが、依然として紙は縦、電子は横と使い分けられていることも、ある意味では驚きです。

これから10年後、20年後にはどういう読まれ方が一般的になっているのか、書かれ方によって俳句の中身は変容してゆくのか、見届けることができたらうれしいです。



それではまた、次の日曜日にお会いしましょう。


no.700/2020-9-20 profile

■山口優夢 やまぐち・ゆうむ
1985年、東京生まれ。東大・早稲田など東京の学生俳句サークルやTHCなどの超結社句会に参加。第六回俳句甲子園団体優勝・個人 最優秀賞。第二回龍谷大学青春俳句大賞大学生部門最優秀賞。第四回鬼貫青春俳句大賞優秀賞。好きな惑星は火星。2008年12月より銀化所属。アンソロジー『新撰21』(2009)に参加。2010年第56回角川俳句賞受賞。ブログ「そらはなないろ」 

■村越 敦 むらこし・あつし
1990年東京都生まれ。「澤」同人。

■生駒大祐 いこま・だいすけ
1987年三重生まれ。『天為』『オルガン』『クプラス』などを経て現在無所属。第三回攝津幸彦記念賞、第五回芝不器男俳句新人賞。第一句集『水界園丁』(港の人)。 

■小林苑を こばやし・そのを
1949年東京生まれ。「月天」「百句会」「塵風」所属。句集「点る」(2010年)。

■山田耕司 やまだ・こうじ
1967年生まれ。群馬県桐生市在住。句集『大風呂敷』、『不純』。俳句同人誌「円錐」編集人。 

■中嶋憲武 なかじま・のりたけ
1994年、「炎環」入会とほぼ同時期に「豆の木」参加。2000年「炎環」同人。03年「炎環」退会。04年「炎環」入会。08年「炎環」同人。 

福田若之 ふくだ・わかゆき
1991年東京生まれ。「群青」、「オルガン」に参加。第一句集、『自生地』(東京四季出版、2017年)にて第6回与謝蕪村賞新人賞受賞。第二句集、『二つ折りにされた二枚の紙と二つの留め金からなる一冊の蝶』(私家版、2017年)。共著に『俳コレ』(邑書林、2011年)。 

岡田由季 おかだ・ゆき
1966年生まれ。「炎環」同人。「豆の木」「ユプシロン」参加。句集『犬の眉』(2014年・現代俳句協会)。ブログ 「道草俳句日記」

西原天気 さいばら・てんき
1955年生まれ。句集に『人名句集チャーリーさん』(2005年・私家版)、『けむり』(2011年10月・西田書店)。笠井亞子と『はがきハイク』を不定期刊行。ブログ「俳句的日常」 twitter

■村田 篠 むらた・しの
1958年、兵庫県生まれ。2002年、俳句を始める。現在「月天」「塵風」同人、「百句会」会員。共著『子規に学ぶ俳句365日』(2011)。「Belle Epoque」

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