2020-09-06

【句集を読む】夜空に 北杜青『恭』の一句 西原天気

【句集を読む】
夜空に
北杜青』の一句

西原天気


天心の窪みて朧月夜かな  北杜青

「て」は軽く切れるとされる。窪みと月とはちょっと引き離して読むべきかもしれないが、月が薄墨のなかに浮くでもなく沈むでもないあの朧月の有様、あれを「窪み」と呼ぶのは至極適切で巧みと思ってしまった。

掲句はしかし、朧月ではなく「朧月夜」と大きく捉える。そこが気持ちがいい。見立てやら喩の彩を超えて大きく、包み込むような景。天心もその高さでもって、広大に寄与する。

北杜青句集『恭(かたじけな)』2020年3月/邑書林

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