中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜
浅野ゆう子「セクシー・バス・ストップ」
天気●筒美京平が10月7日に80歳で亡くなりました。キャリアが50年以上ですから1曲に絞るのは難しいのですが、これ、浅野ゆう子の「セクシー・バス・ストップ」(1976年)を。
天気●筒美京平についてはウラハイでも取り上げて、「引用」ということを言ったのですが、この曲の場合、フィラデルフィア・ソウル。小粋なディスコサウンドに仕上がっています。
憲武●この曲、最初は「ドクター・ドラゴン&オリエンタル・エクスプレス」というバンドのインストルメンタルとして、ビクターから洋盤でリリースされたんですね。
憲武●実はこのグループこそ、筒美京平が仕掛けたバンド、後藤次利、鈴木茂、林立夫、矢野顕子による日本のバンドだったんです。
天気●このバンドは後年のコンピレーション・アルバムとかでなんとなく知っていましたが、メンバーは知りませんでした。冒頭のギターリフは、鈴木茂のストラトキャスターの音だったのですね、きっと。
憲武●おそらくそうでしょう。この曲が発売されたのは、中学生活も終わりを迎えようかという頃で、てっきり外国のバンドだと思ってました。すぐに浅野ゆう子のカバーが出たので、それは買いましたけどね。オリジナルは後年、中古で買いました。
天気●和楽器を添えて「ひと工夫」感を出してる。それと、浅野ゆう子の歌がバタ臭くなくて、そのへんも味わい深い。
憲武●さらっと歌ってますね。卒業、入学の頃だったんで毎日なにかと不安で、これを聴いて和んでました。「最後のキャンドルライト灯して、みんな踊るけれど」という一節が印象的でした。
天気●筒美京平は1940年生まれ。60年代が青春後期とキャリア最初期。アメリカン・ポップスの豊かさと洗練をうまく日本に移植した作曲家といえるのでしょう。合掌です。
(最終回まで、あと834夜)
(次回は中嶋憲武の推薦曲)
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