【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】
トニー・メイデン:楽器屋の店頭で
天気●ギター屋さんの店頭で、そこで売ってるギターを誰か、まあ腕のたつ人なんですが、弾くという動画。こんなもの、ギターをやってる人間しか見ないんですが、ライブとかでは観られない・聴けない演奏が観られる・聴けるという意味で面白かったりするのです。
天気●トニー・メイデンはルーファス、あのチャカ・カーンのバックバンドにいた人です。チャカ・カーンって、あのシャウトがちょっと懐かしい。
憲武●チャカチャカチャカチャカチャカカーンで始まる曲をすぐ思い出しますね。
天気●で、これね、もう、身体に備わったファンクリズムが、ほとばしりまくっているというか。喋りながら、左手でワンノート(1音)を鳴らすそのリズムからして、グルーヴに満ちている。
憲武●これ、ギターですよね? 親指の動きが派手で、チョッパーみたいに見えます。
天気●チョッパー、今はスラップって呼ばれる奏法は、もともとベース、例えばスライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーンにいたラリー・グラハムが有名ですが、いま、ギターで演る人も多いんです。トニー・メイデンは、ふだんはピックも使うのですが、この動画では、指だけ。指が別の生き物というのではなくて、心臓と連動していきいきと動く。
憲武●最近は打ち込みが主流ですけど、ナマの演奏って細かな感情の揺れみたいなことも表現出来るんじゃないでしょうか。
天気●前半のリズムが強調されたくだりも、後半のちょっとメローなくだりも、どっちもしぶい。
憲武●なんなんでしょうね、音楽で伝わってくる事って。譜面通りの正確な演奏に感動しているのか、速弾きに感動しているのか、テクニックに酔うのか、それ以外のものがありそうです。
天気●音楽ってアンサンブルの素晴らしさ、練り上げられた楽曲の素晴らしさの一方、楽器ひとつで、ちょろちょろっと遊びで鳴らす面白さもある。もちろん、これは達人が弾いているからなんですが、それにしても、音楽にはいろんな楽しみ方(奏でるほうも聴くほうも)があるんだな、と、あらためて。
(最終回まで、あと823夜)
(次回は中嶋憲武の推薦曲)
(次回は中嶋憲武の推薦曲)
0 comments:
コメントを投稿