【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】
リトル・フィート「Fatman in the Bathtub」
天気●前回からの流れで、リトル・フィートを。
天気●大々々々好きなライブ盤というのがいくつかあって、リトル・フィートの1977年録音、78年リリースの「Waiting for Columbus」もその1枚。この曲、「浴槽にデブ」は、2曲目。1曲目は露骨にイントロな「Join the Babd」なので、実質的な冒頭です。
憲武●いいですね。この粘っこい感じ。
天気●うどんでいえば、コシのある太麺のノリですよね。ローウェル・ジョージの歌とスライド・ギターとか、このバンドの美味しいところが詰まった曲です。
憲武●十九の頃ね、デビューしたばかりのサザン・オール・スターズの桑田佳祐がリトル・フィートに影響受けたと言ってたんで、聴いたんですが、あまりピンと来なかったんです。アメリカのロックって、それほど聴いてなかったし。ま、それまでにもレコード屋でレコード買うと、「ロックの名盤100選」とかいう販促用のリーフレットをくれて、それには必ず「アメイジング・シューズ」とか「ディキシー・チキン」などが載ってたんで、気にはなってたんです。
天気●ああ、桑田佳祐は好きですよね。ローウェル・ジョージへのトリビュート・アルバムで「ロング・ディスタンス・ラヴ」って曲を歌ってたりします。ローウェル・ジョージは79年にバンドを脱退。自分のバンドなのに脱退しちゃうんですね。で、その直後に心臓発作で亡くなってしまう。だから、リトル・フィートって偉大なバンドというイメージのわりに、ローウェル・ジョージ込みの活動は短くて10年ほど。7枚のオリジナル・アルバムと1枚のライブ盤(これです)を残すのみ。
憲武●なるほど。すぐ亡くなってしまったんですね。それ、知らんかっとんてんちんとんしゃん。
天気●でもね、87年に再結成。ローウェル・ジョージ抜きのライブ盤も出ていて、それを聞くと、意外に良い。「Waiting for Columbus」の延長線みたいな熱狂を保っていてね、ローウェル・ジョージが抜けても、魂は注入してあったのかな、とか、いいかげんなことを考えたですよ。
(最終回まで、あと812夜)
(次回は中嶋憲武の推薦曲)
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