2021-07-18

【空へゆく階段】№44 解題 対中いずみ

【空へゆく階段】№44 解題

対中いずみ



「晨」7号(1985年5月号)掲載。裕明26歳。牧野春駒は「青」の先輩でもある。句集鑑賞のなかで大岡信の『うたげと孤心』について、さらに考察を深めている。裕明はこの号より作品発表を開始した。全十句を引いておく。

  菜の花や白砂青松てふけしき

  みのわたのもづくとおもへつきのかげ

  行春の東下りか面映く

  磯遊けぶりにしめるものならむ

  遅き日の手にうつくしき海の草

  種井いま月をたたへるふもとかな

  冷ゆる手のすこし種井をさそふかな

  種池をいくつ過ぎゆき冷えにけり

  しばらくは潮の匂ひの種浸し

  かつらぎの種井の雨のきりもなし


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