【空へゆく階段】№44 解題
対中いずみ
「晨」7号(1985年5月号)掲載。裕明26歳。牧野春駒は「青」の先輩でもある。句集鑑賞のなかで大岡信の『うたげと孤心』について、さらに考察を深めている。裕明はこの号より作品発表を開始した。全十句を引いておく。
菜の花や白砂青松てふけしき
みのわたのもづくとおもへつきのかげ
行春の東下りか面映く
磯遊けぶりにしめるものならむ
遅き日の手にうつくしき海の草
種井いま月をたたへるふもとかな
冷ゆる手のすこし種井をさそふかな
種池をいくつ過ぎゆき冷えにけり
しばらくは潮の匂ひの種浸し
かつらぎの種井の雨のきりもなし
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