【空へゆく階段】№45 解題
対中いずみ
「晨」50号(1992年7月号)掲載。前年の十月に波多野爽波を亡くし、句会報「水無瀬野」を出しはじめたころの文章である。爽波の死去については一切触れていないが、あらためて師の作品を読み直しているのだろう。
この号の発表作品10句。
耕しの重たきもののとほりたる
濡れてゐる鶯なきし暗さなり
百年のはじめの桜咲きにけり
春雨の子どもがやむとゆうてやむ
春の橋人の重みに落ちにけり
八十八夜図鑑にめしひ魚のかほ
なほ重き八十八夜の手紙かな
麦笛を見てその音色かんがへる
卯月浪この雨もまたかろきかな
よく見れば卯波てふものなかりけり
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