【空へゆく階段】№49 解題
対中いずみ
「晨」15号(1986年9月号)掲載。裕明はときどき「青」や「晨」に句集評を書いたが、いずれも単なる鑑賞で終わらず、俳句の特性を考えながら執筆している。この稿では「文体」である。この号の10句は以下の通り。
葉組せししょうぶに瀧の風あらた
人越しに話してをりぬ火取蟲
風吹いて時間をかくす瀧のみち
このたびは雨もよろしき夏柳
夏柳酔ひなめらかになりゆくも
それぞれの声稲の露芋の露
逆の峰すこし内省的になる
送り火や遊びにあらず草を結ふ
数枚の秋の海の絵描きあがる
晝風呂の戸の開いてゐる芋の秋
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