2021-09-05

【空へゆく階段】№49 解題 対中いずみ

【空へゆく階段】№49 解題

対中いずみ


「晨」15号(1986年9月号)掲載。裕明はときどき「青」や「晨」に句集評を書いたが、いずれも単なる鑑賞で終わらず、俳句の特性を考えながら執筆している。この稿では「文体」である。この号の10句は以下の通り。

葉組せししょうぶに瀧の風あらた

人越しに話してをりぬ火取蟲

風吹いて時間をかくす瀧のみち

このたびは雨もよろしき夏柳

夏柳酔ひなめらかになりゆくも

それぞれの声稲の露芋の露

逆の峰すこし内省的になる

送り火や遊びにあらず草を結ふ

数枚の秋の海の絵描きあがる

晝風呂の戸の開いてゐる芋の秋


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