2021-09-05

【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】エリック・ドルフィー「You Don't Know What Love Is」

【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】
エリック・ドルフィー「You Don't Know What Love Is」


憲武●前回のチャーリー・ワッツはもともとジャズドラマーだったということで、今回はちょっとジャズを聞いてみたいと思います。エリック・ドルフィーで「You Don't Know What Love Is」。

 

憲武●この曲の収録されているアルバムは、「ラスト・デイト(1965)」で、オランダの放送局でのスタジオライブです。エリック・ドルフィー以外のミュージシャンは、オランダ人なんですね。因みにパーソネルは、エリック・ドルフィー(アルトサックス、バスクラリネット、フルート)、ミシャ・メンゲルベルク(ピアノ)、ジャック・ショールス(ベース)、ハン・ベニンク(ドラムス)です。

天気●ジャズをあまり聴いてこなかった私ですが、一時期、愛聴盤でした。よく聴きました。ファンは多いんじゃないですか。鴇田智哉さんも、好きな曲に、エリック・ドルフィーのThe Way You Look Tonight を挙げていました

憲武●アルトサックスが炸裂してる曲ですね。The Way You Look Tonight は、NHK第一ラジオの夜中の番組「夢のハーモニー」のテーマ曲として記憶してます。

天気●へえ、そうなんだ。

憲武●「ラストデイト」はジャズのフルートが好きで、よく聴いているアルバムです。フルートがまず登場する曲というと、クロード・ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」を思い浮かべてしまうんですが、あちらは滑らかなフルートに続いてハープが絡んできて、ぱーっと薄日が差してくるような感じ。それに対してエリック・ドルフィーは悲鳴のようなフルートに、重くベースが絡んでどんどん曇ってくるような感じで、クラシックとジャズのフルートの音色の出し方、考え方といったところの違いが興味深いですね。

天気●管楽器は、サックスとかも含め、クラシックとジャズと、音色からして違う感じですね。

憲武●このライブは1964年の6月2日に行われたもので、その4週間後にエリック・ドルフィーは患っていた糖尿病が悪化して、36歳で亡くなってしまうんです。

天気●早いですよね。糖尿病による心臓発作だそうです。生活習慣、怖いっす。

憲武●この演奏を聴くと、すでに黄泉の風景を見ていたかのような気がします。

天気●天国かも、ですよ。

憲武●天国ですかね。小学生の頃、カーペンターズの曲のフルートや、井上堯之バンドの「太陽にほえろ!」のサントラでのフルートを耳にして、いいなあと思ってたんですが、いま思うと、エリック・ドルフィーに影響されていたのかなと思いますね。

天気●なんか、その順序って、あるのかな? ふつうないでしょ、へん! と思いますけど、まあ、いいや。

憲武●もちろん、このアルバムはこうした曲ばかりではありません。ぜひ聴いて欲しい一枚です。 


(最終回まで、あと791夜)

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