後記 ◆ 福田若之
ねんねんころりよ、の、ねんねん、音の変化が行き届きすぎて、ほとんど擬態語みたいになっているの、素敵だなあ、と思うんです。で、続けざまに、ころりよ、と来る。今度は、正真正銘の擬態語に、助詞のよをつけて、あたかも動詞の命令形のように働かせている。すごい。
これだけでも、もうかなりおなかいっぱいな感じなのに、とどめは、おころりよ、です。これって、お黙り、の、お、ですよね。動詞の連用形について、かるい命令を表す。それを擬態語につけて美化語にしてしまうって、かなり斬新なんじゃないだろうか。
けれど、この歌いだしのなにがすばらしいかって、やっぱり、これだけ変なことをしているのに、平然と届くってところだと思うんです。だから、衒いを感じない。
句を、こんなふうに、すうっと書けたらいい。そんなふうに思います。
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それではまた、次の日曜日にお会いしましょう。
no.751/2021-9-12 profile
■小林苑を こばやし・そのを
1949年東京生まれ。「月天」「百句会」「塵風」所属。句集『点る』(2010年)。
■中嶋憲武 なかじま・のりたけ
1994年、「炎環」入会とほぼ同時期に「豆の木」参加。2000年「炎環」同人。03年「炎環」退会。04年「炎環」入会。08年「炎環」同人。
■福田若之 ふくだ・わかゆき
1991年東京生まれ。「群青」、「オルガン」に参加。第1句集、『自生地』(東京四季出版、2017年)にて第6回与謝蕪村賞新人賞受賞。第2句集、『二つ折りにされた二枚の紙と二つの留め金からなる一冊の蝶』(私家版、2017年)。共著に『俳コレ』(邑書林、2011年)。
1991年東京生まれ。「群青」、「オルガン」に参加。第1句集、『自生地』(東京四季出版、2017年)にて第6回与謝蕪村賞新人賞受賞。第2句集、『二つ折りにされた二枚の紙と二つの留め金からなる一冊の蝶』(私家版、2017年)。共著に『俳コレ』(邑書林、2011年)。
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