2022-01-23

【空へゆく階段】№55 解題 対中いずみ

【空へゆく階段】№56 解題

対中いずみ



「晨」60号(1994年3月号)掲載。「晨」が60号に達し、「六十号記念特集・平成俳句に於ける私の志向」と題して、14名が執筆している。こういう節目に、さて何を書こうかというとき、裕明はやはり虚子なのか、と思う。

今号の発表作品10句。

ゆつくりと來るものうれし去年今年

供待のストーブ消えてありにけり

中山道春の畳の匂ひかな

日脚のぶほど小説のすすみけり

技癢とはつかはず氷るものばかり

宵の戸を霰の叩く旅のあと

三寒と云うて下京よごれつつ

雪來るといふ大庇かさねけり

本はみな函より出して春の山

春霰これよりさとき耳と舌

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