【空へゆく階段】№56 解題
対中いずみ
「晨」60号(1994年3月号)掲載。「晨」が60号に達し、「六十号記念特集・平成俳句に於ける私の志向」と題して、14名が執筆している。こういう節目に、さて何を書こうかというとき、裕明はやはり虚子なのか、と思う。
今号の発表作品10句。
ゆつくりと來るものうれし去年今年
供待のストーブ消えてありにけり
中山道春の畳の匂ひかな
日脚のぶほど小説のすすみけり
技癢とはつかはず氷るものばかり
宵の戸を霰の叩く旅のあと
三寒と云うて下京よごれつつ
雪來るといふ大庇かさねけり
本はみな函より出して春の山
春霰これよりさとき耳と舌
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