【空へゆく階段】№58 解題
対中いずみ
「晨」第46号(1991年11月号)掲載。年譜によれば1988年12月に四ッ谷龍に誘われて永田耕衣に会い、その後ときおり句会に参加していたようだ。その消息は四ッ谷龍著『田中裕明の思い出』に詳しい。
本号の発表作10句。
よく聞けば京の言葉や胡麻の花
五山の火燃えて小筥をかたく錠
母らみなやさしくありし根釣かな
その人の句より歌よき子規忌かな
あなとほき正岡子規の忌なりけり
母ひとへ父よりの文露の家
唱へもす露の茅舎の露の句を
童子の目かくうつくしき夜食かな
みなやさし蓑虫を見て通るとき
深大寺ゆかりの墓に詣でけり
≫田中裕明 壮大な幻術 永田耕衣句集『生死』
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