2022-02-27

対中いずみ【空へゆく階段】№61 解題 

【空へゆく階段】№61 解題

対中いずみ



「晨」第70号(1995年11月号)掲載。7冊の句集から1句ずつ引いて鑑賞をしている。句の細かな分析というよりは、作者の人となりとともに味読している。

本号の作品10句。

旅鞄見てゐる秋の暑さかな

大文字子どもはいつもこれなあに

露の世の葛咲きのぼるためしかな

葛咲くや虫のゐどころ悪き日は

背泳ぎの顔の昼星仰ぎけり

大花野わが老齢の澄みてあるか

秋いまだ大緑蔭と申すべく

秋の蝉生れて死して一雑誌

神の蛇穴に入るべく細りけり

蛇穴に入るや女の痩せにやせ

※6句目は、「大花野わが老齢の澄みあるや」のかたちで『先生から手紙』に収められている。


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