【空へゆく階段】№61 解題
対中いずみ
「晨」第70号(1995年11月号)掲載。7冊の句集から1句ずつ引いて鑑賞をしている。句の細かな分析というよりは、作者の人となりとともに味読している。
本号の作品10句。
旅鞄見てゐる秋の暑さかな
大文字子どもはいつもこれなあに
露の世の葛咲きのぼるためしかな
葛咲くや虫のゐどころ悪き日は
背泳ぎの顔の昼星仰ぎけり
大花野わが老齢の澄みてあるか
秋いまだ大緑蔭と申すべく
秋の蝉生れて死して一雑誌
神の蛇穴に入るべく細りけり
蛇穴に入るや女の痩せにやせ
※6句目は、「大花野わが老齢の澄みあるや」のかたちで『先生から手紙』に収められている。
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