2022-02-20

【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】スティーヴ・マーティンとバーナデット・ピーターズ「Tonight You Belong To Me」

【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】
スティーヴ・マーティンとバーナデット・ピーターズ「Tonight You Belong To Me」


天気●昔々のある時期、スティーヴ・マーティンの映画をレンタルで観まくっていまして、そのなかから、バーナデット・ピーターズとのデュエットを。

 

天気●米国のボードヴィリアンには音楽が出来る人が多くて、スティーヴ・マーティンも、そう。達者にギターとかを弾きます。ここではウクレレ。

憲武●海辺にウクレレはよく似合います。この映画「The jerk(邦題・天国から落ちた男)」(1979年)、未見ですが、よさそうな映画ですね。

天気●よく憶えていないのですが、スティーヴ・マーティンのなかでは「並」ってなかんじだったような。

憲武●「並」ですか。

天気●「並」というか「中の上」というか、これ以降の80年代の喜劇映画もどれも「中の上」。好みで評価が分かれる感じです。ハンフリー・ボガートのパロディ「スティーブ・マーティンの四つ数えろ」(1982年)、ちょっとグロいドタバタの「2つの頭脳を持つ男」(1983年)、独身男の悲哀を面白く見せる「スティーブ・マーティンのロンリー・ガイ」(1984年)とか、ラストのダンスシーンが感動的な「オール・オブ・ミー/突然半身が女に!」(1984年)だとか、「サボテン・ブラザース」(1986年)とか。それから、すこしあとになって、 「バックマン家の人々」(1989年)は喜劇要素薄めの渋い映画でしたね。

憲武●80年代前半は毎年何かしら作品がかかってた印象です。それはそうと、主人公の弾く弦楽器というと窓辺のオードリー・ヘップバーンがすぐに思い浮かびますが。

天気●「ムーン・リヴァー」ね。名シーンです。バーナデット・ピーターズの歌、巧いわけではないんだけど、なんか、こう良いというか、極上なんですよね。音楽って、うまいとかへたとか無関係なケースがあって、技術うんぬんとは別に、ゴキゲンの要素、素晴らしさの要素があるような気がします。

憲武●ゴキゲンの要素ですか。ここでは波音と夜と炎の揺めきが、効果を上げてますね。

天気●そう、劇中音楽の魅力ですよね。で、なんか唐突にコルネットのソロになるんですが、YouTube のコメント欄には指使いが合ってるという指摘もあって、自分で吹いてるっぽい。ここも、技術とは別に、すごく良いソロ。

憲武●びっくりしましたね。突然。前後の関係性を知らないんで、「持ってたんかい」と突っ込みたくなるような。このシークエンスだけで観たくなるような映画です。

天気●大掛かりで、凝ってて、ハイファイで、最先端で、っていう音楽とは別に、こういう小粋な音、キュートな唄も、音楽の大きな愉しみだと思うんですよね。


(最終回まで、あと772夜)

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