2022-03-20

対中いずみ【空へゆく階段】№63 解題

【空へゆく階段】№63 解題

対中いずみ



「晨」67号(1995年5月号)掲載。「晨」で新たなシリーズ「花照鳥語」が始まり、その第一回を裕明が担当した。第二回は中田剛で、両人が文章で登場する機会は多い。ちなみに、「静かな場所」22号で満田春日が、「旅人かへらず」は、ハムレットの第三幕第一場、「生きるか、死ぬか…」に続く長台詞中にあることを指摘している。

今号の発表作品10句。

一山に棲む鳥老いぬ春の瀧

母を待ちながら本読む椿かな

水音のかたきを獵の名残とぞ

日曜学校雪解の風にひらかれて

瀧壺といふほどもなく雪解風

ものの芽のふゆるを告げよ嵐山

蜷あゆむ水やはらかと思うとk

夜の雨残りし鴨をつつみけり

引鴨やインクを充たし何もせず

寒食のものうすうすとあたたかく

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